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「そう言えば……アタシとイヴが薔薇を持っていたって事は、メアリーにも薔薇があるの?」
メアリーと出会った廊下の少し先、ギャリーは思い出したように話し掛けた。
「うん! 黄色い薔薇だよ!」
「そう。大切な物だから、無くしたり、誰かに取られたりしないよう気を――」
「わ〜! イヴの薔薇は赤なんだね! 私、黄色も好きだけど赤も好きなの。後、青も!」
「……聞いてない……全く、人の話はきちんと聞きなさいよ!」
メアリーが加わってから、より一層にぎやかになった。
やっぱり人数は多い方が良いなぁ、なんて思っていると、目の前に二つのドアが現れた。
「どっちのドアを開けたら良いのかな?」
私は二人に聞いてみた。
「う〜んと……右!!」
メアリーが元気に宣言して、右のドアに手を伸ばす。
「あっ、ちょっと!! いきなり開けたら危な――」
ギャリーが忠告するが、時すでに遅し。メアリーの手がドアノブを掴み、そして、
――ガチャ
「あれ?」
メアリーは何度かドアノブを回すが、ガチャガチャと音をたてるだけで一向に開く気配がない。
「なぁんだ、開いてないや。つまんないの〜。じゃ、次は左!」
「……はぁ。変なヤツに会ってないのに、もう疲れたわ……」
左のドアを開けると、そこはウサギの置物がたくさんある部屋だった。
「わ〜! カワイイ!!」
メアリーが大きなウサギの絵の前に駆け寄って言った。
「えっ!? こんなヤツのどこがカワイイのよ! キモチワルイじゃない!」
「カワイイよ!! ねぇ、イヴ?」
その絵は確かに可愛かったので、
「うん。なでなでしたいくらいカワイイ」
メアリーに賛成した。
「ほら! イヴだってこう言ってるし、キモチワルイなんて……ギャリーって変!!」
「変なのはアンタ達よ! もう……さっさと鍵を探してこの部屋からでましょ!」