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しばらくして鍵は見つかったので部屋から出ることになった。
「ふぅ……やっとあの部屋から出られたわ……」
「え〜! もっと居てもよかったのにぃ……ねぇ、イヴ?」
「うん。可愛かったよね」
「冗談じゃないわ!! ずっと見られているみたいで落ち着かなかったし、もーうんざり!」
は〜ぁ、というギャリーの大きなため息にまぎれて、何か音がした気がした。
「ねぇ、何か音しなかった?」
私は二人に聞いてみる。
「えっ? そんな音してないよ。ギャリーは?」
「アタシも、」
――ガサッ
突然下の方から聞こえた音によって、ギャリーの言葉はかき消されてしまった。
「……ねぇ、イヴが聞いた音ってもしかして……?」
「うん、この音だよ!」
「……音、近づいて来てない?」
メアリーの言う通り音はどんどん大きくなって、そしてバリバリッ!! と何かが床を突き破り、私達に向かって来た。
私はとっさに走って、目をつぶり床にふせた。
「イヴ、大丈夫!?」
「メアリー……。私は大丈夫。メアリーとギャリーは?」
「平気だよ!」
「アタシも大丈夫……って、何よこれ!?」
そこに見えたのは茨。床から突き出した茨が、私がさっきまでいた場所からいくつも生えて、道をふさいでいた。そして、それは私どうにかメアリー、ギャリーを道の真ん中で分けてしまっていた。
「これって茨のツル? ジャマでそっちに行けないんだけど……」
そういう言いながらギャリーはツルをどうにかしようと引っ張ってみるが、
「!! ちょっと、これ石で出来てるわ! ……どうしましょう?」
う〜ん、とギャリーが必死に考えていると、
「ねぇ! 良い案があるんだけど……」
「何? メアリー?」
私はメアリーに聞く。
「さっきの部屋で見付けた鍵、イヴが持っていたでしょ? その鍵で、あのドア開けられるんじゃない? きっと、何か良い物があるよ!」
メアリーが言ってるドアは少し前に開けられなかったドアの事だった。
「多分開けられるだろうけど、別れない方が良いと思うわ」
ギャリーが心配そうな声で言う。
「すぐに戻って来れば大丈夫だよ! ねっ、イヴ?」
「……うん、そうだね。このままここに居ても、何も変わらないし……」
そう言うとギャリーはようやく折れたらしい。はぁ、とため息をつきながら言った。
「わかったわ。でも良い? 何も無かったらすぐに戻って来るのよ!」
「うん、わかった!」
「はーい!!」
私とメアリーは元気よく返事をして、ドアに向かって走り出した。