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馬(シリアス)
作者: 栗おこわ  (総ページ数: 10ページ)
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*5*

第五話

「恵、この花、咲かせてみいへん?」
「…?」
父との論争の後。母が、土に生えたツボミを指差して言った
「何で…」
「いや、最近恵、荒れてるなあ思うて」
母がハハハと笑って言う
「花なんか、意味ないし。いいよ」
「そうか…」
母は残念そうな顔をして家に入って行った
「…」

私は、母が言った花をもう一度見た
「綺麗な花…」

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ドンドンドン!
「あ…」
夜。
「…」
「馬か」
「恵…」
幕府の役人が出向いてきたのだ
「俺出てくる」
「・・・・・」
「恵、母ちゃんと一緒にいよな」
私は無言でその場に立っていた

「叶野殿。今夜くらいに、いかがかね」
「はい。では、こちらに…」
父が戸を閉め、役人を馬小屋へ案内する
「恵?」
母が、何も言わず固まる私を心配して、話しかけてきた
「ん…」
私は、ふらふらとした足取りで戸を開けた…

            つづく

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