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第二章「見えるんだ」
帰り道だった。時計を見ると、5時だった。いつもは寄らないコンビニに無性に寄りたくなって、何か買うわけでもないのに中へ入っていった。おなかは空いていなかったので、雑誌コーナーへ行くことにした。そこには、今日でたばかりの新刊もあった。「品揃えがいいな。」と玲美は思った。そこで、玲美はある雑誌に釘付けとなった。その雑誌は女子のゴシップ雑誌で、玲美も玲美の母親もどちらとも興味なさそうなものだったが、今、玲美が釘付けになった理由はこれである。
「特集!白い糸は本当にあった!自身の体験を語るMさん!」
気になった玲美はその特集があるページまでめくり、記事を読む。中にはこう記されていた。
「私は、ある日、朝目覚めると全身に痛みが伝わり、体が動けない状態でした。ふと天井を見上げると、小さな悪魔がいるではありませんか!助けを呼びに行こうとしても、体は動かず、私は布団の中でじっとしているだけでした。呼びに行けたとしても、誰も信じてはくれないでしょう。私は悪魔が何か言うのを待ちました。しかし、悪魔はそのまま消えてしまいました。不思議な事に、体の痛みも消え、私は立ち、リビングへ行き、先ほど起きたことを家族に知らせようとしたのですが、案の定、誰も信じてくれるものはいませんでした。」
玲美はこんなもの作り話に決まっていると思った。しかし次のページには、
「すると、私の目に何か細長い白い糸が、父の指から出ているのを見ました。すぐに私はわかりました。それが白い糸だということを。糸の先は、ドアの向こうへ続いていました。そこにいたのは、なんと母だったのです!怖くなった私は、部屋へかけこみ、ずっと布団の中で蹲っていました。」
と記されていた。これには玲美も驚かされた。自分があると信じていた白い糸が本当にあるなんて、嬉しいと思ったからだ。時計を見たら、なんと6時だった。早く帰らないと母親に叱られると思った玲美は、足早にコンビニから退散し、家へ帰った。
自分に何が起きるかも知らずにー。
続く