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第三章「恋愛対象」
今朝起きたら、体が酷く痛んだ。普段運動しないため、(吹奏楽部で肺活量の特訓はする)筋肉痛は有り得なかった。しかし、痛みはすぐに消えた。天井に黒いもやもやが見えたが気にしない。準備をした後学校へ行った。
玲美の母はシングルマザーのため、朝早くから仕事へ出かける。女手ひとつで育ててくれた母には感謝しているが、そのせいで玲美は家に一人でいることが多かった。
「今年の誕生日も一人かな。」
誰にも聞こえない小さな声で呟いた。
もうすぐ玲美の誕生日。
玲美は学校へ着くと、ある疑問を彩葉にぶちまけてみた。
「彩葉、あなたは恋をした事ある?」
「ブッ!!!!!!」
彩葉は飲んでいた水筒の水を驚きのあまり噴出してしまう。
「あなた、汚いわねぇ。」
「玲美が変な事聞くからでしょう!?」
「で、あるの?」
「どうしてそんなこと言わなきゃいけないの?」
「私達親友だと思ってたのに・・・。親友の間には秘密無し、でしょう・・・?ヒクッ(棒読み)」
「はいはい、玲美の嘘泣きはバレバレですよ〜。ていうか、嘘泣きにもなってないし!で、どうしてよ?」
「だって、私、恋をしてしまったんですもの。」
「ブッ!!!!!!」
本日二度目の噴出しだ。何回驚くのよこの子は!
「玲美、そういうのはサラッと言う事じゃあないわ。」
「へぇ〜。私の好きな人知りたくないんだ。」
「いや、もちろん知りたいわ!で、誰なの?」
「あのね・・・、高橋弥生・・・!」
「えぇ〜!玲美、高橋弥生が好きなんだ!」
「しっ!声がでかい!」
よりによって高橋弥生の目の前で!
「だって、高橋弥生と言えば、サッカー部のエース!面倒見がいい!誰にでも優しい!のパーフェクト男子じゃない!まぁ、玲美にはぴったりだけどね?」
「でしょうでしょう!」
その時、何か白いものが見えた。私の指先から、細くて長いものが。それは高橋弥生へと繋がっていた。そして。私は気づいた。これは・・・、白い糸・・・!
「玲美、どうしたの?玲美ー?」
玲美は泣いていた。
続く