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運命の白い糸 【完結】
作者: 幸音  (総ページ数: 7ページ)
関連タグ: 運命 白い糸 恋愛 悲劇 悲恋  
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*5*

第四章「最期の告白」

「『高橋くんへ、放課後噴水のところで待ってます。』か。」
「ひゅ〜!さすがヤヨ。モテる〜!!」
「春、冷やかさないでよ。」
「また告白されるんだろ〜?」
「うん、多分ね。とりあえず放課後行ってみるよ。」

ー放課後ー

「さてさて、噴水噴水。」

待っていたのは、見覚えのある少女。無理も無い。クラスメイトだったからだ。

「岸野さんじゃん。どうしたの?」
「あのね、高橋くん。私、高橋くんにどうしても伝えなきゃいけない事があるの。」

ktkr! 告白タイム〜!

「白い糸って、知ってるでしょ。」

え?告白じゃないのかよ!?

「知ってるよ。あれでしょ、人を死へ追い込むか追い込まれるかを結ぶ糸。」
「そう。私ね、それが見えるの。」
「え・・・?」
「信じてもらえないのはわかってる。でも、本当なの。」
「・・・。」
「高橋くん?」
「・・・、すごいよ、岸野さん!白い糸が見えるなんて!」
「信じてくれるの?」
「もっちろん!僕、白い糸を信じてるもの!」
「私も同じ!同じよ!」
「でもさ、どうして僕に言うの?」
「それは・・・。」

玲美は口ごもる。

「それは、高橋くんの事が好きで、高橋くんと私は白い糸で結ばれているから。」
「え・・・?」

一瞬信じられれなくなった。この子が僕を、僕がこの子を、殺してしまうかもしれないなんて。そして、この子が僕の事を好きだなんて。

パンパラッパーン

というラッパの音と共に、

ダダダダーン

というピアノの声が聞こえた。ラッパの音は、彼女が僕の事が好きで、僕は前から彼女の事が好きだったから、両思いという事実への喜び。ピアノの音は、彼女と僕が白い糸で結ばれているという事。

「僕も、岸野さんの事が、好きだった。」
「え、本当!?」
「うん、本当。」
「やった!嬉しいな〜・・・。あれ?なんで涙が出てくるんだろ?」

玲美の目からは涙が出ている。嬉しいのか、悲しいのか、わからない。

「私、嬉しいはずなのに。大好きな高橋くんと結ばれて。なのに、どうして白い糸があるの?私はただ、純粋に高橋君のことを思っているだけなのに、どうして白い糸がじゃまをするの?ねえどうして?どうしてよぉ!」

玲美はさっきよりもいっそう泣いていた。

「岸野さん・・・。」

弥生は優しく彼女を抱きしめる。

なぜ、こんな事が起きなくてはならないのかを考えながら。

続く

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