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第四章「最期の告白」
「『高橋くんへ、放課後噴水のところで待ってます。』か。」
「ひゅ〜!さすがヤヨ。モテる〜!!」
「春、冷やかさないでよ。」
「また告白されるんだろ〜?」
「うん、多分ね。とりあえず放課後行ってみるよ。」
ー放課後ー
「さてさて、噴水噴水。」
待っていたのは、見覚えのある少女。無理も無い。クラスメイトだったからだ。
「岸野さんじゃん。どうしたの?」
「あのね、高橋くん。私、高橋くんにどうしても伝えなきゃいけない事があるの。」
ktkr! 告白タイム〜!
「白い糸って、知ってるでしょ。」
え?告白じゃないのかよ!?
「知ってるよ。あれでしょ、人を死へ追い込むか追い込まれるかを結ぶ糸。」
「そう。私ね、それが見えるの。」
「え・・・?」
「信じてもらえないのはわかってる。でも、本当なの。」
「・・・。」
「高橋くん?」
「・・・、すごいよ、岸野さん!白い糸が見えるなんて!」
「信じてくれるの?」
「もっちろん!僕、白い糸を信じてるもの!」
「私も同じ!同じよ!」
「でもさ、どうして僕に言うの?」
「それは・・・。」
玲美は口ごもる。
「それは、高橋くんの事が好きで、高橋くんと私は白い糸で結ばれているから。」
「え・・・?」
一瞬信じられれなくなった。この子が僕を、僕がこの子を、殺してしまうかもしれないなんて。そして、この子が僕の事を好きだなんて。
パンパラッパーン
というラッパの音と共に、
ダダダダーン
というピアノの声が聞こえた。ラッパの音は、彼女が僕の事が好きで、僕は前から彼女の事が好きだったから、両思いという事実への喜び。ピアノの音は、彼女と僕が白い糸で結ばれているという事。
「僕も、岸野さんの事が、好きだった。」
「え、本当!?」
「うん、本当。」
「やった!嬉しいな〜・・・。あれ?なんで涙が出てくるんだろ?」
玲美の目からは涙が出ている。嬉しいのか、悲しいのか、わからない。
「私、嬉しいはずなのに。大好きな高橋くんと結ばれて。なのに、どうして白い糸があるの?私はただ、純粋に高橋君のことを思っているだけなのに、どうして白い糸がじゃまをするの?ねえどうして?どうしてよぉ!」
玲美はさっきよりもいっそう泣いていた。
「岸野さん・・・。」
弥生は優しく彼女を抱きしめる。
なぜ、こんな事が起きなくてはならないのかを考えながら。
続く