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シークレットガーデン -魔女と呼ばれた少女の物語- 完結!
作者: 姫凛  (総ページ数: 13ページ)
関連タグ: シークレットガーデンシリーズ 短編version シリアス ファンタジー 感動系? 
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10~

*6*


第ニ階層



(少年と謎の生命体はプリンセシナ 第ニ階層へたどり着く。
ここは彼女の家からほど遠くない場所に和えう喉かな村だ。彼女くらいの年ごろの子供も沢山いる。
だが同い年の子供が沢山いるからと言って打ち解けられるとは限らない…。)


「ん……ここは村?」

「みたいですね。のどかでいいですね」

「そうだね」

「私とご主人様の愛の巣もこんなのどかな場所に建てたいですね♪」

「………」

パピコさんの最後の言葉はひとまず置いといて。村を探索してみよう…。

『そうね〜』

『それでね〜』

『きゃはははっ』

『待て待てー』

おばさん達が井戸端会議をしていたりちょっとやんちゃすぎる感じの子供達が、駆けまわっている。

「もうっ!元気よすぎますよねっ。ぶつかったらどうするんでしょう」

「まぁまぁ。子供は元気が取り柄なんだからさ」

「も〜〜ご主人様は優しすぎです!」

まぁまぁとパピコさんをなだめていると、さっきまでにぎやかだった村が一気に静かになってみんなある一定の方向を見てる。…僕も見てみるとそこには

「あ……シレーナ」

大きな紙袋を抱えてうつむいて歩いているシレーナだった。
第一階層でみた元気な覇気がなく今のシレーナに少し近いような暗く元気のない表情。

『えいっ!』

『キャッ!』

「えっ!?」

ある一人の男の子がシレーナに向かって尖った石を投げつけた。
石はシレーナの目の近くに当たって頭から血が流れ出す。それを見た子供たちは次々に石をシレーナに投げ始めた。

『出て行けーーー!!』

『出てけー!』

『魔女ー!』

『………』


[イタイ…イタイ…イタイよ。なんで…なんで…こんな事されないといけないの?]


「まじょ?」

『まぁ汚らわしい!もうこの村には寄り付かないでと言ったはずでしょ!』

『いやぁ〜ね。見てくださいよ、リブスさん家のお子さんがまた外に出てますよ』

『そうですね。まったく、汚い菌をこっちに移さないで欲しいわね。魔女の子が!』

『そうですよねぇ〜』


[どうして…こんなヒドイこと言われないといけないの?…どうして]


子供だけでなく大人たちまでシレーナを汚いもののように見て陰口をたたいている。

『うぅ………』


[イヤだ!イヤだ!イヤだーーー!もうこんな思いはうんざりだよ!
どうして私だけ。私ばっかりこんな思いをしないといけないの?
なんで石を投げてくるの?どうしてヒドイ事を言うの?
わからない……。わからない…。私にはなにもわからないよ……]

『あっ!魔女が逃げたぞっ。ははっ、そのまま森の化け物に食われちまえっ!』

何ながら立ち去っていくシレーナに向かって酷い言葉を吐く子供達。

「あの!」

『なっ、なんだいあんたは』

「ちょっ!?ご主人様」

居ても立っても居られれず、シレーナに酷い言葉を言っていた大人たちを問い詰めた。
大人なのに。子供を間違った方向から正し方向に正すのが親なのに。なんで、どうしてシレーナにあんな酷いことを言えるんだっ!!

「どうして彼女が魔女なんですか!?」

『な、なんでってねぇ〜』

『そりゃあねー』

『あんな両目の色が違う子なんて魔女以外の何者でもないわよね〜』

「そんな…そんな理由で……」

『なんだいあんた!あの子の肩もとうってのかい?』

『こいつらも魔女の仲間だーー!』

『きっとそうだわ!キャー』

「……僕はっ!」

「ご主人様。お気持ちはわかりますが、ここは引きましょう。次の階層への扉も開きましたから」

無理やり引っ張るパピコさんに負けて僕は石やナイフを投げてくる村人たちから逃げ村を後にした。

「……知らなかった。シレーナがこんな……酷いイジメにあっていたなんて…」

次の階層への扉へ向かっている途中、僕は自分が情けなくて……言葉が出た。

「プリンセシナは、誰にも知られたくない封印した記憶が創りだした世界、なんです」

「………」

分かってはいた。理解してたつもりだったけど……ここまで辛いものだったとは…。僕の覚悟は半端なものだった。

「……帰りますか?」

僕の事を心配してパピコさんは言っいる

「このまま下へ下へと進んで行くと今のよりもっと重く苦しい記憶の一部を見ることになりますよ。それでも進みますか?」

もしここで僕が引き返せばシレーナは確実に穢れになってしまう。
僕が…僕が頑張らないと!

「いやっ行くよ。こんな所で諦めたら駄目なんだ!」

「キャンッ♪それでこそ私の惚れたご主人様でございます」

「行こう、パピコさん!」

「はい♪」

止まっちゃ駄目だっ!辛くても押しつぶされそうでも止まったらそこで終わりなんだ。
僕には助けを待ってる人がいるんだ!だから前へ前へ進まないといけないんだっ!!
新たに覚悟を決め直し第三階層と書かれた扉をくぐり階段を下りて行った。
たぶん。シレーナは僕が想像してたよりも重たく辛く壮大な人生を歩んで来たんだ…と思う。だからこそ僕がしっかりしないとっ!


(少年はいかに自分が浅はかだったかをこの階層で学んだ。
新たに覚悟を決めた少年の内底には、希望の光が輝いている。だが希望は絶望を呼び込む。絶望は闇ですべてを覆う。
少年の周りには常に光と闇が紙一重。)


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