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作者: メルヘン嬢 (総ページ数: 8ページ)
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2話
ジャックside
私の名前はジャック。狼。
森の中にうろちょろしていたら、赤ずきんの被った可愛らしい14歳ごろの女の子がいた。
赤ずきんから見える艶やかな金髪。
ぷっくりとした唇。
二重瞼に睫毛が長い美しい金眼だが、その目は光がない。
無表情な子だ。
話しかけると、その子の名前はレミアと言って思ったとおり無愛想な子で、今からお婆様の所へ行くらしい。
(へぇ..ここに人がいたのか。
ばーさんと赤ずきんも食べてしまおうか)
丁度、お腹が空いていたんだ。
今日はご馳走だな。
「そうか。じゃあ、お婆様の為にお花を摘むのはどうかな?」
「いいですね。そうしましょうか」
赤ずきんが花を摘む間にばーさんの所へ行こうっと。
「ジャックさんも手伝って下さい」
「えっ?う、うん」
びっくりしてしまってうん、って言ってしまった。
大丈夫かな?まあいいか。
___ブチブチ
「..........」
「..........」
うわあ、気まずいよ。
チラッと赤ずきんを見ると真剣に花を摘んでいた。
うー..あっ、そうだ!!
「赤ずきん。こっち向いて?」
「何ですか?..えっ」
赤ずきんの頭に花の冠を乗せると、赤ずきんは驚く。
「プレゼントだよ。」
赤ずきんの顔が赤く染まり、花の冠を手に持つ。
「えっ?えっと..」
「ありがとう...!!」
「......!」
初めて見た赤ずきんの笑顔にドキッ!とした。
笑わない子だとは思ってたが、笑うとこんなにも愛らしい。
赤ずきんは心にも喜んでいるようにニコニコする。
「ジャックさん、本当にありがとう!私、誰かにプレゼントされるの初めてなの!」
先程まで死んだ魚の目だった目がキラキラと輝いている。
まるでただの人形が魂を宿らしたかのようにと。
「ジャックさん、大好きです!」
___ドキッ!
ああ、まただ。この子の顔を見ると胸がドキドキするんだ。
(この気持ちは一体、何なんだ?)
#
「ジャックさん、手伝ってくれてどうもありがとうございました」
ぺこりとお辞儀する。
「うん。それじゃあまた会おうね」
「はい」
赤ずきんがいなくなると同時に反対側の近道を通ると、ふと赤ずきんの顔を思い出すと胸が苦しい。
これは何なんだろうか?
私は病気にでもなったのか?
わからない。
「ここか...」
やっと着いた。
へえ、この少し古い建物が赤ずきんのばーさんの家か。
___コンコン
「ゴホッ、お婆様。私、赤ずきんです。お見舞いしに来ました」
裏声で言うと中から「赤ずきんかい?お入り」とばーさんの声が聞こえる。
____ガチャ
「赤ずきん。いらっしゃ....って
アンタは誰だい!?」
先程まで上品に笑う顔が私を見て
睨む。
「私?私はジャック。狼だ。」
バタンッとドアを閉めるのを合図に、狼に変身するとばーさんは、青ざめた顔になる。
「あっ...あ.....」
「怖がらないで?私が骨まで残らず食べてあげるから」
「ひっ!」
今日はご馳走だ。
全部食べてあげるから、喜んでよ?
「ぎゃあああああァァァァァ!!!」
#
「ふぅう、美味しかったな」
残らず全てを食べ尽くした。
特に目玉が暖かくしょっぱくて美味しいものだったので、途中から人間に戻ってそのまま食べた。
「あーあ、お気に入りの服が汚れてしまったな」
「しょうがない。ばーさんの服をちょいと借りるか..」
少しキツイがしょうがない。
我慢だ。我慢。
「あっ、そうだ!」
「ベッドに隠れて赤ずきんをたべようか」
うん、そうしよう。
私が全て食べて尽くしてあげるから早く着てね?赤ずきん。