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奇想天外!プロレス物語【完結!】
作者: モンブラン博士  (総ページ数: 82ページ)
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*18*

俺たちはプロレスの世界大会、ワールドプロレスグランプリ、通称『WPG』に出場した。

出場チームは世界各国から集められた100チーム。

その中で本戦へと出場できるのはたった8チームのみだ。

なんとしても勝ち抜き、本戦へ出場してやる!

と、ここでチームのメンバー紹介を忘れていた。

1人目は王李。カンフーの達人だが口が非常に悪い。

2人目は星野。1ヶ月の特訓で俺の相棒的存在となった自称天使だ。

3人目はメープル。メンバーの紅一点の女の子。

優しくて天然なところがたまらなく可愛いお嬢様。

4人目はスターレスリングジムの副会長を務めるカイザーブレッド。

ジムの中では2番目に強く、心も体もでかく、頼りになるおっさんだ。

そして最後に俺を加えた5人がチームとなっている。

他のメンバーは居残り組になったものもいれば、ジャドウみたいにどこかに失踪したものもいるし、わざわざ俺たちの応援団になってくれた奴らもいる。

そんなこんなしているうちに、全チームが入場し終わり、開会式がスタートした。

周りを見渡してみると世界各国の団体から集められた強豪選手ばかりがいる。

だけど、俺は絶対に負けねぇ。

必ず本戦に出場して、優勝してやる!!

「井吹くんはこの中で1番弱い癖によくそんな自信満々なことが言えますね」

「・・・・・この野郎!」

俺が王李の言葉につい切れそうになり、掴みかかりそうになるのを止めたのはカイザーさんだった。

「やめたまえ。今は開会式の最中だ。つまらない揉め事を起こし、失格にされてしまったら、元も子もない」

カイザーさんのおかげでなんとか俺は冷静さを取り戻すことができた。

しばらくして開会式が終わり、安堵のため息をついていると、第1次予選を開始することが運営委員より宣言された。

「マジかよ!?開会式が終わったばっかだぜ?少しやすませろよ」

「井吹、疲れている気持ちは分かる。
だが、真のレスラーというものは決して何があっても決してうろたえたりしないものだ。それをよく覚えておきたまえ」

「お、おう・・・・」

『第1次予選は恒例のジャンケン大会です!
チームの代表を決めて、決まった代表の人は前へ進みでてください!』

はあ?ジャンケン!?

俺はその種目に拍子抜けしたが、とりあえず代表として前へ出た。

ここで負けたら恥さらしもいいとこだ。

『私に勝ったチームだけが第2予選へとコマを進めることができます。それでは始めましょう』

一列に並んだ俺たちは次々に司会者とジャンケンをしていく。

だが、この司会者はジャンケンに強いらしく、次々に脱落チームが出る。

負けたチームの代表はチームへ帰ると袋叩きにされている奴らが少なくなかった。

『ただいま、49チームが出場権を獲得しています。残りは最後の1チームだけです』

最後の1枠か・・・・って俺の番じゃねぇか!!

『それでは行きますよ、ジャンケンポン!』

司会者が出したのはチョキ。俺はグー。

『おめでとうございます。第2次予選進出決定です!!』

嬉しいのか嬉しくないのか複雑な気持ちで俺はチームに戻った。



翌日第2次予選が開かれた。

昨日で一気に50チームまで減らされた各チームがこれからさらに減るのかと思うと俺も緊張してくる。

『第2予選は大玉ころがしです。チーム全員で協力して、1番を目指してください!1番になったチームだけが最終予選へと出場できます!!』

運動会かよ、と心の中でツッコミを入れつつ、予選がスタートした。

俺たちは出場順にボールを回し、楽々と第2次予選を突破することができた。

これで出場チームは50から20チームへ減ってしまった。



次の日、ついに最終予選が行われた。

『最終予選はメンバー全員で協力する5人6脚です!
上位12位までになったチームが見事本戦へ出場権を獲得できます!!』

やっぱり運動会だな、この予選・・・・・

俺たちはバンドで脚を固定し、ピストルの合図と共に走りだした。

ところがみんな歩幅が違い、連携もかみ合わず、なかなかうまくいかない。俺たちはどんどん抜かされ、とうとう最後尾になってしまった。

この5人6脚はゴールまで20キロあるので、まだまだ巻き返しは可能なのだが、とりあえず息を合わせないとまずい。

「みんな行くぞ、1、2、1、2!」

俺の掛け声に合わせて走り始めるが、なかなか息が合わず、転んでばかりだ。

連携が取れないため、どんどん敵チームたちとの差は開くばかり。その状況に俺は次第にイライラしてきた。

「なんでだよ、みんな俺の号令に合わせろ!!」

「僕は嫌ですね。誰があなたなんかの言うこと聞きますか」

「井吹くんは端っこですから、この場合は中央にいるカイザーさんが号令したほうがいいのではないでしょうか・・・・」

ほんわかしながらもメープルの意見は的を射ている。

みんなもそれに同意し、カイザーさんが号令を取り始めた。

すると副会長の号令で闘志に火が灯ったのか、次第に息が合い、速度が速くなっていることが分かった。

一番ビリだったのが、どんどん巻き返していき、最終的に12位で俺たちは最終予選を突破、本戦への出場が決まった。

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