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作者: モンブラン博士 (総ページ数: 82ページ)
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*20*
「あの野郎・・・許せねぇ!今度は俺が戦ってやる!!」
「弱小チームの癖に気合だけは人一倍だな。
まあ、今の攻撃をみて打ち破れる奴などお前たちの中にはいないだろう。さっさと諦めて棄権したほうが得策だ!」
「・・・・僕が、破って見せます」
リングに上がったのは星野だ。
「星野、お前・・・・」
「僕、試合前に決心していたんです。もし、王李くんが倒されるようなことがあれば、僕が天使として、敵を天国へ送ってあげるって。
だからシカさん、あなたの対戦相手はこの僕です」
相変わらず表情そのものに際立った変化はないが、その声は幾分か低くなり、王李を倒された怒りに燃えていることが分かる。
「シカカッカッカッカッカ!お前のような華奢な少年がこの俺に勝てるとでも!?コイツはお笑い草だぜ。それにもし、俺に勝てたとしても、
俺の仲間はあと4人も残っている。お前たちの敗北は濃厚だ!」
「その心配は要りません。あなたたちは全て僕が倒します」
「お、おい星野・・・あんま無理すんな」
「大丈夫です。井吹くんは僕の試合を観戦しておいてください」
俺が声を掛けると、星野は少しだけ微笑み言った。
だが、俺は星野がリングに上がったことよりも気になることがあった。それは、敵の笑い方が変化したことだ!
「「「そんなことどうでもいい(でしょ)!!」」」
☆
「シカッ!」
開始のゴング早々、シカはパンチを繰り出す。
だが、星野はひょいひょいと繰り出されるパンチを軽々と避けていく。
「・・・さっきのカンフーよりもやるじゃねぇか。
だがな自称天使。お前は捕まえられれば、手も足もでねぇだろ?」
シカは星野の襟首を掴み引き寄せる。
「へえ、よく見るとお前、結構可愛い顔してるじゃねぇか」
「王李くんのほうが可愛いって言われていますよ」
星野はサマーソルトキックをシカの鼻先にお見舞いする。
「グオッ・・・・」
不意打ちを食らい、思わす後退するシカの隙を逃さず、ロープへ放り投げ、反動ではね返ってきたところを、内股をかけ、マットへ押し倒し、腕ひしぎ十字固めを掛ける。
「調子に乗るなよチビが〜ッ!」
シカは豪腕にものを言わせ、軽々と持ち上げ、コーナーポストへ放り投げた。
だが、星野も負けてはいない。
素早く身を翻し、激突を免れる。
そのままコーナーポストを蹴って手刀を軸にしてきりもみ回転し、シカに突っ込んでいく。
「そんな攻撃がこの俺に通用するとでも思っているのか」
シカはそれを掴み、マットに叩きつける。
そしてニードロップの連打を星野に浴びせる。
「どうした?もうおねんねか小僧?」
「まだ・・・まだです・・・・」
星野はニードロップを腕でガードし、敵をよろめかせると、素早く立ち上がり、とんぼ返りを敢行。そのままブランチャーに移行する。
だが、敵にそれを捕まれ、投げっぱなしジャーマンでマットに叩きつけられる。
「自称天使よ、俺の猛攻の前に満身創痍のようだな。
そろそろギブアップしたらどうだ?
所詮お前はただの子供。お前が俺に勝つことなど不可能だ」
「あなたの考えはそうかも知れませんが、あいにく僕は痛みを感じない体質なんです。
ですから、いくら攻撃を受けても立ち上がることができます」
「そうかよ。だがな、俺たちもお前たちのことは調査済み。
お前は先のスリープマン戦でその痛みを感じない体質があだとなり、苦戦したことがあったろ?」
「・・・・・・」
俺にはなんのことかはわからないが、どうやらそういうことがあったらしい。
「お前はそれ以前もそれ以後も何も変わってはいない!
己の体質を過信し、敗北するのだ。
スリープマンにはできなかったかもしれんぇが、俺はお前を倒すことができる!
ナルシー、カイザーに続き、お前を破る3人目の男となるのだーッ!」
シカはクリスマスタックルをお見舞いし、星野を空中に舞い上がらせる。
「さっきのカンフーと同じくあの世に送ってやろう!
必殺『ターキークラッシュ』!」
ところが星野は敵の頭で素早く身を翻してジャーマンされるのを防ぎ、敵のバックを取り、逆にジャーマンで返した。
「ターキークラッシュ返しです」
「ゴフォア〜ッ!」
今の攻撃でシカの角が折れ、奴の戦力が半減した。
さらに自分の必殺技を食らったともなれば、肉体的、精神的にも大ダメージなはずだ。
「こ・・・このクソガキ・・・・」
「僕はクソガキじゃありません。天使です」
「ゴファ〜ッ!」
星野の必殺のアッパーが決まり、シカは力尽きた。