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作者: モンブラン博士 (総ページ数: 82ページ)
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*30*
俺たちは各リングに入り、それぞれの対戦相手と対峙した。
ここからは、各々の視点で物語が進む。
☆
「不動仁王。お前とこうして対決するのははじめてだな」
「フッ、目黒怨。星野の無念を今ここで晴らしてやろう」
俺は拳を固め奴に突進していく。
「明王と悪魔どちらが強いか、読者が気になっていた答えがこの試合で導き出されるというわけだな」
「よくわからんが、そういうことだ。だが、目黒怨。俺を舐めないほうがいいぞ、この性悪クソガキ」
「俺に対しては随分と口汚く罵るんだな、不動」
「当たり前だ。俺は悪魔には容赦はしない。星野のように甘い拳で戦うと思っていると痛い目に合うぞ」
「それはお互い様だ、不動。貴様こそ悪魔を舐めないほうがいいぞ」
俺は拳を振るい奴に猛攻をしかける。
「グフェ〜ッ!」
目黒は俺の鉄拳に後退していく。
「散々人を殺めた罰を俺が下してやろう、悪魔のクソガキ」
☆
僕はシーさんをじっと見つめています。
別に彼が好きだとか興味があるからとかいう話ではなく、ただどんな出方をしてくるのかが気になるのです。
ですが、彼は一向に僕を攻めてきません。
ただ流暢に腕を組んで僕を見つめているだけです。
「なんとも退屈なものですねぇ、ヨハネス」
どうしてあなたは攻めてこないのですか?
「ニャハニャハ!分かりきったことを聞かないでください。
私は自ら攻撃にいかなくてもあなたに勝てます。もう少しわかりやすく言いますと、ここから一歩も動かずにあなたを倒してごらんにいれましょう」
今まで感じたことのない不気味さと怪しさに僕は少なからず、このシーという人物に恐怖を抱きました。
ですが、それ以上に興味がわいてきました。
この人は一体どうやって僕を倒すつもりなんでしょう?
「ニャハニャハ。そう構えなくてもそのうちわかりますよ。焦らないことです。我々の試合が始まるのは、他のみなさん方の試合に決着がついてからでも遅くはないでしょう。この考え、どう思いますか?」
僕はとりあえず、相手の考えに乗ることにしました。
これで敵をじっくりと観察し、勝利への解法を見つけ出せるかもしれない。
☆
「行くよ、井吹」
大形に似た容姿、似た闘いをする少年、藍川恋は俺に了解を得て、攻撃を開始した。
だが、ひとつ不思議なことがある。
それは奴の強さだ。
試合が開始して5分が経過しているが、今のところ俺は奴と互角に戦っている。
敵の表情や動作からして手を抜いているとは思えない。もしかするとこれが奴の全力なのだろうか。
「大当たり。これが僕の全力だよ。キミはもしかすると、僕と大形くんを照らし合わせていないかな?」
「ああ、そうだ。よくわかったな」
「分かるよ。キミのことは大形くんから聞いている。彼は僕の従兄弟なんだ」
なるほど、従兄弟か。
どうりで戦闘方法が似ていると思った。
「僕はいつでも正々堂々だよ。かかってきてよ、井吹くん」
おう!
☆
私はジャドウを睨む。
「ジャドウ、なぜお前は我々を裏切ったんだ?」
だが奴は不敵に笑うだけだ。
「カイザー、お前は俺のことをどれほど知っているかな」
「長い付き合いだ。大体のことは把握しているつもりだ」
「ならば今回俺がどうしてお前たちをわざわざ裏切り敵に回すような行動をとっているのかも理解できるはずだ」
「そうか。お前がそういうのなら、その言葉を信じてみるとするか。
お前の中にある正義の魂をな。もっとも、お前にそれがあるかどうかは計りかねるが」
「フフフフ、カイザーよ。お前も少しは冗談がうまくなったな。俺が正義の心を持つと思うか?俺は悪だ。それだけはたとえ太陽神であったとしても変えることはできないぞ」
「ああ、百も承知だ。だから今はただお互いの全力をぶつけ合って戦ってみたい!かつての友としてな!」
「いいだろう。お前のその信念を全力で受け止め、屈服させてやろう!」