完結小説図書館

<< 小説一覧に戻る

奇想天外!プロレス物語【完結!】
作者: モンブラン博士  (総ページ数: 82ページ)
関連タグ:
 >>「紹介文/目次」の表示ON/OFFはこちらをクリック

10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~

*31*

「なあ、不動よ。お前はどうして悪人に対し容赦ないんだ?」

「バカなことを聞くな。俺の異名が怒りをもって改心させる明王だからだ。悪人を退治し改心させるのは俺の崇高なる趣味、とやかくいうのはやめてもらおう」

俺はガキを掴み、フロントスープレックスを決める。

「なるほどな。だが、俺の殺しも趣味だ。対戦相手を半殺しにしないかぎりメシがうまくない」

「フッ、それは俺も同感だ。俺も敵を倒し平謝りさせなければ気がすまない」

目黒は立ち上がり、ハイキックを見舞う。

「お前は結構えげつない性格をしているな」

「人に言えないだろう、悪魔のガキめ」

俺はハイキックをハイキックで返す。

すると奴がローリングソバットを放つため、俺も応戦する。

「お前の実力はこんなものか目黒怨」

「どう思ってくれてもかまわないさ、不動仁王」



「おや、そろそろ不動と目黒の試合は佳境に入りましたね。この様子だともうそろそろ決着がつくでしょう。ニャハニャハ」

シーさんは相変わらず首だけ第1リングに向けて、腕を組んで棒立ちになったままだ。

「こちらの試合も面白そうですよ、ヨハネス」

彼が指指した方向には井吹くんが第3リングで闘っていた。

彼らの話を聞くと、大形くんと井吹くんの対戦相手が従兄弟だとか言っている。

「しばらくはこうして試合を観戦するのも悪いことではありませんよヨハネス。どうせあなたは私に負けるのですから」

その物言いに一瞬だけカチンと来たが、あくまで平静を保ち、表面には出さない。

「じゃあ、お言葉に甘えてみんなの試合を観戦するとします」

愛想笑いをして、僕は彼と同じく井吹くんの試合を観戦することにした。



な、なんだあのふたり、闘わないで俺たちの試合をみてやがる・・・!

「まあ、シーさんはそんな人だよ。気にしたら負けだよ」

藍川は俺にパンチをお見舞いする。

だがここ数日の特訓やカイザーさんたちの動きを見て、体が覚えているのか、自然に避けることができた。

「大形くんに聞いたときよりも、少しは成長したようだね。でも、僕に勝てるかな?」

「勝てるさ。あのカイザーさんが大暴れさせてやるって言ってくれたんだ。ここで大活躍してお前を倒さなきゃあのおっさんに悪い」

「ふーん。じゃあ、僕を倒してごらんよ」

「望むところだ!」

30 < 31 > 32