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作者: モンブラン博士 (総ページ数: 82ページ)
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*33*
「ジャドウ、行くぞ!」
「来い、カイザー!」
私は早速彼にラリアートの一撃を放つ。
しかしそれを取られ、一本背負いで投げられる。
だが、私は受身をとり衝撃を和らげたため、さして効果は見られない。
すぐさま立ち上がり、今度は敵にハンマー投げを2、3度お見舞いする。
彼が倒れたところをすかざずニードップとエルボードロップを数発浴びせるが、敵は私が何発目かのニードロップを放つ際にそれを受け止め、巴投げで投げられてしまった。
コーナーポストに激突する直前に素早く身を翻して衝突を避ける。
やはり敵は元同志だけあって一筋縄ではいかない相手だ。
「まさかお前とこうして幾年の時を経て対決することになろうとは夢にも思わなかった」
「私もだよ、ジャドウ」
「フフフフフ、お遊びはここまでにして、そろそろ俺の真骨頂である超残虐レスリングを開始するとするか」
とたんに彼は私に目潰しを食らわし、続けて金的攻撃を見舞う。
さらに喉元に蹴りを放ったかと思ったら、倒れ伏した私を滅多蹴りにしてリング下へ転がした挙句、エプロン下からパイプイスを取り出し、私を殴り始めた。
イスが壊れると、今度はノミを取り出し、それで私の額を攻撃する。
たちまち私の額は血まみれになるが、たいしたことではない。
デビューから今まで、スパーリングも含め彼の反則攻撃を受けすぎて反則に耐性がついているのだ。
彼はニヤリと笑い言う。
「俺は死神だ」
「確かにお前には死神という異名がよく似合う。凶悪さの中に優しさを秘めた、そういう男だ」
「ほほう、なぜそう申すのだ?」
「世間の人は死神を邪悪だと勘違いしているようだが、それは大きな誤解だ。死神は死にいく人を優しく見守り、導き、天国まで案内する神様なのだ。お前はそれを分かっていて、わざと死神の異名に甘んじ、己を偽っているな?」
「当たり前のことを言うな、カイザーよ。俺は常に人から憎まれるが、俺を憎んだ奴は後で必ず、悟り、俺の真意を理解する。これが俺の美学だ」
「お前らしいな、ジャドウ。威張らず謙虚に悪を演じ、憎まれる。それがこの世の花か・・・・悪役は実生活では、優しい奴が多いというが・・・どうやらまんざら嘘ではないらしいな」
「名を告げぬ行いこそ、本物だ。だが、今はそんなことはどうでもいいであろう。口を開く暇があったら、俺に反撃の一撃でも食らわせたらどうだ?」
「よかろう!」
私は彼を捉えエアプレンスピンでリング中央へ放り投げると、後を追ってリングイン。ロープの反動を利用して跳ね返り、彼の首筋にレッグラリアートを放つ。
彼の首は一瞬変な方向に曲がったが、すぐにゴキッという音がして元通りに。
「俺は首の骨が曲がってもすぐに元に戻せる」
「さすがジャドウだ。タフネスが違うな」
「お褒めの言葉、ありがたくうけたまらせてもらうぞ」
彼は低音で私に言うと、タックルを敢行し、私を弾き飛ばす。
そして落下する私の両足の裏に自分の両膝を乗せる。
「『ジャドウドライバー』!」