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作者: モンブラン博士 (総ページ数: 82ページ)
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*61*
「『ブランデンブルクの赤い噴水』!」
ボクは通称ブラ赤を次々に連発し、敵の包帯を切り裂く。
そして敵に突進し、オクラホマスタンピートでリングに叩き付け、立ち上がってきたところにフライングクロスチョップのカウンター攻撃をお見舞いし、ふらついたところでモンゴリアンチョップを首筋に食らわしダメージを与える。
そしてとどめの必殺技を炸裂させた。
「『アイアンクロー』!」
ボクは自分の右手を相手の顔面にめり込ませる。
メキメキというきしむ音がし、敵が絶叫するが、ボクはこれぐらいで攻撃をやめるほど甘くはない。
懇願するミイラ男さんをロープを使った目つぶし攻撃で攻め立てつつ、顔面を思いっきり握り潰す。
「ギブアップ……」
ボクの猛攻についに敵はギブアップした。
けれど、アニキ、みんなにボクたちの秘密がばれちゃったかもしれないね。
アニキが帽子を脱ぐことで女の体であるボクに変身するってこと。
(フローラ、余計なこと言わないでよ)
はいはい、わかったよ、バカアニキ。あの骸骨みたいなおじいさんから帽子を取り替えすまで、ボクが代わりに戦ってあげるから。
☆
2番目の対戦相手はアニキが苦戦して勝った、シーとかいう変態男。
ボクはアニキの心の中で敵の対戦方法を事細かに分析して戦略をたているから、勝機はアニキよりある自信がある。だけど、ボクは女。
体力や力の差は歴然。唯一互角の攻防ができるとすれば握力だろう。
ボクの握力は自慢じゃないけど、かなり高い。
さっきのミイラ男を倒したみたいにアイアンクローが決まるかどうかがこの戦いの勝敗のカギを握っていることだけは間違いない。
もし、アイアンクローが決まらなかったら勝負するのはかなり難しいことになりそうだ。
「行きますよ、ニャハニャハ」
ああ、生で聞いちゃったよ、この品のない笑い。
正直ボク、この笑い好きじゃないんだ。もっとも彼には失礼だけど。
ボクは敵が繰り出すパンチの嵐を身軽なフットワークで避け続ける。
もちろん避けているだけではなく、隙を見て攻撃をする。
まずは敵の肩に飛び乗り、そこから両足蹴りを放つ。
それには敵も面食らったようで少し後退する。
本当のことを言うとボクは早く戦いを終わらせてクレープが食べたい。
(じゃあ、この試合に勝てたら、僕がおごってあげるから、絶対買ってね!)
さすがはバカアニキ。こういうときだけは賢い。
戦いは嫌だけど、クレープはおしい。
だから早く戦いを終わらせるとしよう。
ボクは時計を眺める。
試合開始から3分が過ぎようとしていた。
「よし、そろそろボクのゲルマン魂を発動させるよ!覚悟はいいかな?」