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マジカルスイーツショップ【完結!】
作者: モンブラン博士  (総ページ数: 198ページ)
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私は芸術を愛する。

芸術には様々な種類がある、絵画や音楽などはその代表だろう。

確かにこの2つの芸術も素晴らしい。

優しい音色で心を癒し、美しい絵でメッセージを伝える。

私はこの2つの芸術を心から愛する。

宝石店に売られている、ダイヤモンドやエメラルドなどの美しい宝石も、また、私の心を奪う。

私は恐らく誰よりも美しいものを好むのだろう。

そのためだろうか、私の弟子はみんな揃いも揃って美形だ。

そしてそれぞれが独自の信念に基づいて行動し、それを曲げることは決してない。

そういうところは、私に似たのかもしれない。

私の持つ持論、信念、それは、『最高の芸術とは、鍛え上げられた肉体から繰り出す技のプロレスである』ということだ。

私は全ての弟子にそれを説き、また自らも実践してきた。

そのかいあって、皆私の教えた美しい技のプロレスをしている。

もっとも、ジャドウくんとカーネルくんは折衷型だが。

それはともかく、私は彼女に教えてやりたい。

私が地球に住んで、これまで見てきた美しい芸術の数々。

そしてそれを生み出した、人間の素晴らしさを!

「星野くん、アレを用意したまえ」

私は弟子の中でもとりわけ気に入っている星野くんに指示を出す。

彼は私の指示通りCDプレイヤーを用意し、どのCDををかけるかを訊ねる。

「まずは『バットデイ』からがいいだろう」

この曲はアメリカで大ヒットし、日本でもよく知られている曲だ。

サビの部分を聞けば、きっと読者のみんなもわかると思う。

「さて、カインちゃん。私のダンスに付き合ってもらうよ」



イントロが流れ始め、私はリズムを取り始める。

「な、何をはじめようっていうのよ!」

「ハハハハハ!ただのダンスだよ。だが、これに泣かされたレスラーは数えきれない」

と、その刹那、曲が始まった。

「何かあるわね、怪しい!」

彼女は私に蹴りを放つが、私はそれを受け止め、受け流す。

「た、たまたまよ。偶然が二度あるわけないわ!」

「カインちゃん。音楽の素晴らしさ、この曲に込められたメッセージを感じてごらん。素晴らしいから」

「フン。誰が音楽なんか、聞くもんですか。私はゲーセンさえあればそれでいいの!」

その時、サビが始まった。

私は彼女が繰り出す拳や蹴りを全て受け流し、あしらい、封じ込め、懐に入り込み、ただ1度だけ、蹴りを彼女の後頭部目がけて繰り出した。

彼女は、今の攻撃で自分の口から流れ落ちた血を見て仰天する。

「こ、この威力…」

「驚いたかね」

私は彼女の顔面に正拳を放ち、転倒させ、足を掴み、メリーゴーランドのように回転しはしめた。

彼女と私はコーヒーカップのようにグルグルと回転している。

「楽しいかね、カインちゃん?」

「楽しくないっ!離して!」

「では、言われるがままに」

私はふっと力を抜き彼女を離すと、彼女はまるで『ガメラ』のように回転しながら、コーナーポストへ頭をぶつけ、ズルズルと倒れ込む。

だが、さすがは銀河太陽系8神だけのことはある、普通の人間なら脳震盪を起こして死んでいたかもしれないのに、彼女はすぐに立ち上がってきた。

「なるほどね…これが噂のダンス拳法って奥義ね…」

「その通り!では、2曲目にいこう!」

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