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作者: モンブラン博士 (総ページ数: 198ページ)
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*110*
「いきますよ」
彼女は試合開始直後に、いきなり僕にドロップキックを放ってきた。
その威力にダウンする僕。
でも、すぐに立ち上がって攻撃の構えをとる。
「どうぞ。どこからでも、かかってきてください」
彼女は少し目を細めて、挑発してくる。
「じゃあ、いくよー!おねえさん♪」
僕はロープの反動を利用して飛び上がり、延髄蹴りを炸裂させた。
「うふふっ、甘いですわね」
彼女は腕でしっかりガードして威力を和らげていた。
「これならどうだ!」
サマーソルトキックで反撃にでると、少しダメージを受けたようで、後ろにのけ反る。
「もう一発!」
「無駄ですわ。わたくしたち銀河太陽系8神は同じ技は食らいません」
彼女は残像が出るほどの早いスピードで後ろに回り、足払いをかけた。
思わずよろめいた瞬間、彼女はいつの間にかコーナーポストの最上段に上って、ムーンサルトを放った。
「うわあああっ!」
僕が倒れたところへ、ボー&ロー、弓矢固めをかけて、背骨を痛めつける。凄く痛いけど、負けないもん。
彼女はそんな僕の態度を見て、なぜか技を解いた。
「あなたとわたくしの実力の差は歴然。棄権してください。わたくしは争いごとは嫌いなのです」
「うーん。でもねぇ、僕も負けるわけにはいかないの!」
「そうですか。仕方ありません。あなたがその気ならわたくしも、その気になって闘ってあげます」
彼女の声が低くなったかと思うと強烈なビックブーツを放ってきた。
おねえさんはハイヒールを履いているから,
かかとが顔に当たって、かなり痛い。
血がぽたぽたと流れ落ちているのがわかる。
きっと今の攻撃で僕の額が切れたんだろう。
「あなたはまだ10歳の人間の子ども。命を粗末にするのは愚かなことです」
「でも、おねえさんたち、悪者なんでしょー?」
「わたくたち…いえ、わたくしは人類に少なからず希望を持っています。
フロイさんと話した後、地球を見学して思ったんです。
確かに悪い人もいるけど、いい人もたくさんいる。
それがこの惑星なんだなって。だから、もう少し様子を見ようかと検討している最中なのです」
「でも悪い神様たちの仲間なんでしょ?」
「彼らは悪くはありません。彼らは少々武力行使に思考が傾いているだけで…」
「なんだかよくわからないけど、試合を再開しようよ、おねえさん♪
僕、おねえさんみたいな強い人と闘えて幸せ♪」
「わたくしは、あまりうれしくありません。この際ですから一気に決着をつけたほうがよさそうです!」
彼女は僕を一本背負いで投げ、ダウンさせるとニードロップを数発浴びせる。
「お願いです。えーっと、あなたのお名前は?」
「ディナーだよー♪」
「じゃあ、ディナーさん。ここはおとなしく棄権していただきますね」
「えーっ、でもまだ試合開始してから5分しかたっていないよー?いくらなんでも早すぎるんじゃない?」
「時間よりあなたの命のほうが優先ですから、早く棄権してください!」
「じゃあ、わかった。僕の必殺技をおねえさんが破ったら、ギブアップしてあげる!」
「わかりました。その必殺技を発動してください」
そのとき、ちょうど12時を告げる鐘の音が鳴り響き、同時に僕のスカーフについている金色のベルもチリン、チリンと音を鳴らした。
「教えてあげるよ、おねえさん。僕の持つ、底なしの胃袋の恐ろしさをね!」