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作者: モンブラン博士 (総ページ数: 198ページ)
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*146*
「来い」
「ほう。あなたから仕掛けるような真似はしないんですか?」
私は1撃で倒してやろうと、彼に蹴りを打ち込みます。
彼は私の蹴りを受け、少しよろめきます。
「この程度の蹴りでよろめくとは、情けない。あなたの相棒のロディさんはもう少しタフネスがありましたよ」
そして彼に何発も手刀を浴びせます。
「痛いですか。苦しいですか?ギブアップしてもいいんですよ」
「お前は…真実を見ることができない愚か者だ」
「何ですって!私に愚か者と言いましたね。許せません、狂わせてあげます」
「できるものなら、狂わせてみるがいい」
すると彼は不意に私の背後に回りこみ、バックドロップをお見舞いしました。
普通のレスラーならいざ知らず、この私ほどの相手にこんな技はまるで効果がないと、たかを括っていたのが間違いでした。
ごわ〜ん!
まるでお正月に鳴らされる除夜の鐘のような音が、私の頭を駆け巡ったかと思った次の瞬間、私は今まで味わったことがないほどの、激しい頭痛を味わいました。
「バ…バカな。今の技はただのバックドロップなはず…」
「そう思えるだけだ」
「よくもまあ、下等生物の癖に生意気に!」
そう言った直後、視界が逆転しました。こ、この体勢は…
ズドン!
銃弾を頭に受けたかのような先ほどよりも大きい頭痛で気が付くと、私はパイルドライバーでリングに串刺しになっていました。
「こ、この私が本気を出していないことをいいことに調子に乗るとは…いいでしょう!思い知らせてあげます、私の恐ろしさを!」
「それができるといいな」
☆
ボクは真っ直ぐマールスさんに向かっていく。
彼女の考え方や心を変えることができるのは、直接会話をした、ボク、ただひとり。
彼女は最初から武力行使で訴えたわけじゃなくて、話し合いで解決しようとしていた。
だから、他の銀河太陽系8神とは違い、地球人の良さもある程度は理解している、理知的で優しい性格なのだろう。
だからこそボクは、彼女の優しさにかけてみることにした。
たとえ試合中であったとしても、敵の命を優先し、敗北することを勧めた彼女の優しさに。
「本当にありがとうございます。わたくしの我儘を聞いてくださって、オランダの試合場まで来てくださって。せっかくあなたがここまでしてくださるのですから、わたくしも本気を出さなければいけませんね」
彼女は微笑むと、ボクのおなかに蹴りをめり込ませた。
「ウッ…コホッ…ッ!」
たった一撃浴びただけなのに、口からつばや血が噴き出される、この威力。
間違いない、マールスさんは強い!
「でも、たとえあなたがどんなに強くても、ボクは諦めるわけにはいかない!なぜなら、あなたの心を銀河太陽系8神の支配から救い出せるのは、ボクだけだから!」
ボクは右手をジャックナイフに変形させて、彼女に攻撃を開始した。
「『ナイフハンド』!」