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作者: モンブラン博士 (総ページ数: 198ページ)
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*152*
ボクは負けない。
たとえどんなに痛い思いをしたとしても、最後の最後まで試合を投げ出すわけにはいかない。
ボクは、まだまだ闘える!
「でも、フロイさん。あなたはもうボロボロ。これ以上闘うと命に危険が出てきます。お願いです、ディナーさんと同じように棄権してください。その方がわたくしは嬉しいです」
確かに今、ボクは彼女の必殺技『ウルフ・ウッドペーカー』を受けて、立っていられないほど、ダメージを受けている。
全身の筋肉が悲鳴を上げ、激しい痛みを訴える。
けれど、ボクはそれを無視して立ち上がる。
ここでボクが負けてしまったら、彼女を説得できる地球人はいなくなってしまう。
元仲間だったとはいえ、脱退したカイザーさんの言うことを聞くとは思えない。
今、彼女の心を改心させてあげられるのは、ボク、ただひとりだけ。
ボクには、彼女の泣き叫ぶ声が聞こえる。
苦しいって悲鳴を上げている心の声が聞こえる。
心の優しい彼女に、これ以上辛い思いをさせたくない!
全身に力を込め、気力で立ち上がる。
息は切れ、服は破れ、戦闘で引き裂かれた傷口からは、血がにじんで痛いけど、今はそんなこと言っている場合じゃない!
「嫌です!マールスさん、友達として、このボクがあなたを救ってみせます!『フランクフルトの夜明け』!」
ローリングクレイドルで、彼女をの首を支点にして反時計回りに回転し、彼女を翻弄し始める。
回転を速くすればするほど、この技は効果がある。
今のボクではかなり体力を消耗する技だけど、自分の体に無理を言って、どんどん回転の速度を上昇させていく。
そして最大のスピードになったところで、彼女を離れ、トンボ返りでロープに飛び、
「『ボンの交響曲』!」
ロープの反動利用した両足蹴りで昏倒させる。
「『ベルリンの空中戦』!」
セントーンで全体重を浴びせ、彼女が立ち上がってきたところに、自分の1番の得意技を炸裂させる。
「『ブランデンブルクの赤い噴水』!」
ボクは彼女の体の横を走り抜ける。
そして彼女はゆっくりと、音もなく静かに倒れた。