完結小説図書館
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第一章【始まり】
「…酒臭いわ………。」
兆年孤独唄の事件が終わり、完璧に宴モードだったフェアリーテイル。
おまけに『だった』と過去形なのは、目の前の光景が地獄絵図だからだ。
中心に倒れているのは、ナツとグレイ。
「ルーシィさん、おはようございます。」
とことこと歩いてくるのは、ウェンディだ。
彼女はまだ幼いので、当然だが酒も飲まない。
ロメオはおそらく、大人に飲まされたのだろう。
「おはよ、ウェンディ。…これ何があったの…?」
目の前は誰一人と立っておらず、大きいいびき声が聞こえるだけだ。
というか宴は5日間、ぶっ通しで行われたとウェンディは言う。
「…だから、ナツとグレイの服ぐしょぐしょなのね。」
グレイが海に落ちたとき、ナツも助けるために海に落ちた。
やはり、何だかんだいってもグレイが心配なのだろう。
兄弟(にしては仲が悪すぎるが)のような二人に、ルーシィは苦笑する。
「でもこれ、海の水だけじゃないでしょ。」
ナツのマフラーの匂いをかぐと、強烈な酒の匂いがする。
思わず「うえっ」と、乙女にあるまじき声を出してしまった。
ああ、はしたない。
「あはは…、そういえばルーシィさん。面白い依頼がありましたよ?」
「え?なになに、どんなの?」
そっと誰かの体を踏まないように、つま先歩きをする。
間違えてドロイの肉のついた足を踏んでしまった、許せドロイ。
「ぬおっ」とぐぐもった声があがるが、すぐにいびきに変わった。
「…『大切な者を保護してください』?人、なのかしら。」
それなら、SPという事になるだろう。
最強チームを起こそうとするが、何だか変に幸せな気分になる。
事件なんてない、いつもと平和なこのギルド。
それがなんだか、嬉しかった。
だがルーシィのその気持ちも、一瞬で無に変える。
なぜなら。
グレイが寝返りで、ナツの体の上に乗っかり。
それにナツがキレて、グレイを殴り。
目が覚めたグレイは、ナツに殴りかかる瞬間エルフマンの顔を踏み。
エルフマンが怒り、喧嘩に混ざろうとするとエルザの足を踏み。
そっから、最悪なピタゴラスイッチが始まった。
「…幸せな時間を返してええええええ!!!!」
こうして、いつもの騒がしいフェアリーテイルが戻ってきたのだ。
――――
兆年孤独唄の事件…グレイが生贄になって、世界が危機に陥りそうだった。
解決したが、流れ星のようにグレイが降ってきて、ナツが助ける。