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*10*
「……前は、こんな本置いてなかったぞ」
「え?いつくらい?」
それはおかしい。
埃や葉が被さっているので、結構前に置かれていたと思っていた。
「…なにか、おかしいな」
「エルザ?」
ふむ、とエルザが考え込む。
グレイは、「あ」と短い声をあげた。
「…まさかだけどよ、誰かが意図的に置いたんじゃねぇか?思い出の土地に」
「意図的に、か…。だがグレイ、誰が私達の過去を知っている?」
エルザの意見に、グレイは息を詰まらせる。
確かに、そうなのだ。
ナツ、グレイ、エルザの3人はバラバラの場所で生まれている。
そこに一人の人間が、3人の過去を知ることなど出来るだろうか。
ナツに至っては、竜だ。
そんな事情など、分かるわけがない。
分かっていたらニュースになっているだろう。
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