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第八章『仮面少女』
建物全体に、爆発音は響いた。
「!なんだ?」
エルザは体を動かせないため、そこにいるしかない。
だが、今ので何があったかは把握した。
(少し遠いところにある…魔力は一つ…グレイ?)
レビィもまた、把握していた。
「なにがあったの・・・?」
「レイガっ、レイガ!」
あの馬鹿が死ぬわけが無い、グレイはそう思いながら辺りを見わたす。
遠くに、レイガの姿があった。
「レイガ、無事……か…」
レイガは、悲惨な姿になっていた。
すがたは、ところどころに肉片が散らばっていて――
「あ、ああ…!」
一つ、チャランと音が鳴る。
レイガがつけていた、グレイのブレスレットと同じものだ。
「…レイガ…、まさか最後だけ…」
自分を助けるために。
前の自分なら、ここで死のうと考えていただろう。
だが今は、そんなのじゃない。
犠牲にしないと決めた今、苦しくても。
レイガの本当の心は、ずっとグレイの中にあると信じて。
「っち、氷の魔導士までも爆破はできないか」
「テメェ…まさか…!」
「そんな…」
今ので全てを理解したナツは、格段と魔力が上がっていく。
ウェンディも、理解して魔力をあげた。
「っ…!?」
その魔力に恐ろしさを感じ、アーティは崩れる。
「アーティ!?」
「その魔力…火竜…そのもの…?」
「よくも、仲間を」
その魔力にミラーリも気づく。
「…っ!なに、あれが貴方の仲間…!?」
いつのまにか、自分の周りに風の壁が出来ている。
ウェンディが怒り狂った目つきで、風の壁は大きくなっている。
「…レイガを、よくも」
後ろから、声が聞こえた。
グレイだ。
手に一本の刀を持っている。
透明なため、氷だろう。
だが纏っている魔力は、古龍の魔力だ。
「あ、貴方達…一体なんなの…!?」
ミラーリが震えながら呟く。
もう二人は、戦意喪失していた。
勝てるわけがない。
「なんなの、だと?」
「決まってるじゃないですか」
次の瞬間、ナツの怒号が響いた。
「妖精の尻尾だこの野郎!!」
三人の技が、爆裂する。
「天照の風壁!!!!!!!!!!」
「古龍飛翔・氷剣!!!!!!!!」
「火竜の鳳凰剣ッっっ!!!!!!!!!!!!!」
―ああ、負けたんだ。
鏡に映る自分は、どれだけ憐れなんだろう?
まるで、あいつ等は…
怒り狂った妖精だ。