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*6*
エネのタイムスリップ六話
「ちょっととまってください!そこの赤いマフラーの人!」
「はい?なんですか?」
「ちょっと話があります…来てもらえませんか?」
私はアヤノちゃんを呼び止めた。
ちょっとビックリしていたのは、私の顔が真剣でひきつっていたからかもしれない。
「あなた、楯山文乃ちゃんですよね?」
「なんで私の名前を知ってるんですか?」
「いや、信じてもらえないかも知らないですけど…私は未来からきたんです…!」
「え…?」
これまでのことをアヤノちゃんに全部はなした。
アヤノちゃんが自殺することも…
アヤノちゃんはそのことにビックリしていたがちゃんと受けとめてくれた。
「私は…死んじゃうんですね…」
「だから、アヤノちゃんには自分が死ななくてもいいやり方を見つけてください!じゃないと…つり目さ…鹿野さんが、そして木戸さんや瀬戸さんも苦しみます!」
「でも…皆を守って死ねるなら…私はそれでもいいです…」
「なんで!アヤノちゃんが自殺したからシンタローは引きこもっちゃったんです!もし、アヤノちゃんが自殺しなければ、シンタローの人生は大きく変わるかもしれないんですよ!」
「確かに…シンタローにはひきこもってほしくない。でも、それをとめるのは私じゃないと思うんだ。貴音さん、貴方がこれからシンタローを守ってやってください。あ!そうだ!なら…」
そして、アヤノちゃんは紙になにかをかきはじめた。
「ほら!遺書書きました!どうせ私、死んじゃうんでしょ?それなら今書いてた方がいいと思って!」
そこにはこう書かれていた。
『シンタローへ、死んじゃってゴメンね。サヨナラも言わずにゴメンね。これには私が死ななきゃいけない理由があったんだ。皆を守るために。シンタローが嫌いなわけじゃない。だから、悲しまないで。ひきこもったりしないで。前を向いて、仲間と前へ進もうよ。勿論、私のぶんもシンタローは進んでね。シンタロー、サヨナラ。』
私はボロボロと涙が出てきた。シンタローに向けた文なのに。
そして、つり目さんや団長さんやつなぎさんにもメッセージを書いた。
そして、その紙を私に渡し
「これ、もし帰れたらシンタローやつぼみたちにあげてください!」
といわれ、紙を受け取ってしまった。
そして、この一言だけいってこの場を去ってしまった。
アヤノちゃん…なんて優しいんだろう…
皆の為を思って、メッセージ書いてくれて…死ぬこともためらってない。
私とは正反対だ。遥もこういう人が好きなんだろうな。
調子にのったこといったけどやっぱり告白なんて無理だ。
やっぱり涙がこぼれてくる。そこに丁度遥がやってきて
「貴音!?どうしたの?」
といって私に近寄ってきた。
遥の顔をみたせいか、余計に涙が出てくる。
「遥ぁ…」
すると、遥が抱きしめてきた。
「貴音…大丈夫…?」
普通なら「なにしてんの!?」といって遥を突き飛ばすけど、今はそんなこと考えもしなかった。
続く