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ヘッドフォンアクター
作者: 弥生  (総ページ数: 22ページ)
関連タグ: カゲロウプロジェクト 
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021「女王の長かった日々」









静かな森の奥深く。
ざわめきだす森林の隙間から太陽の日差しが差しのべていた。シンタローは茂みに倒れ眠っていた。




「シンタロー…大丈夫?」



聞き覚えのある声で目が覚める。目を開けるとコノハだった。心配しているのかわからない相変わらずの無表情でこっちを見ていた。



「おぉ…すまねぇ。…………いってぇ…。なぁコノハ」

「…………なに?」

「俺…………何時間寝てた?」

「え、えっと…3日?」



突然とコノハのお腹が大きく鳴り出す。3日というのも驚いたが、こいつは3日も俺のそばにいたのか。

相変わらずのお人好し…か。

俺にはもったいないやつだな。





気がつくと右手には花柄のハンカチが手にあった。


これ…………は、マリーのやつか。アザミってやつが渡してくれたのだろうか。まぁ好都合だ。



シンタローが立ち上がるとコノハが驚いた顔で問う。



「シンタロー、目、赤い」

「…………えっ、っ!…………能力が発動してるのか、でも自覚がないんだが。…なんだよこれ…どうなってんだ」



いきなり喋りだすシンタローにコノハがよる。



シンタローがコノハと目を合わせるとシンタローの左目が光だし、コノハと共通で光だす。





「右目は…なにもならねぇのに…左目…あれ、体が軽いっていうか…なんか、力が沸き上がってくるような」



不思議に思い右腕に力を入れて木を殴る。
すると目が輝き、木が凪ぎ倒れるように崩壊して行く。



見たことある力。これはコノハの能力だ。



「まさか…この左目…能力をコピー出来んのか」

「すごいね、シンタロー。強くなるなんて」

「あー、説明はめんどくせぇから戻ろーぜ」



コノハが頷くとシンタローは目を閉じて、赤い目を潜め、歩きだした。












「………帰ってこないっすね」



アジトのリビング。
セトにキドと貴音、カノがテーブルを囲んでいた。


キドのケータイにはエネがお休みモードのように眠っている。マリーはどうやら引きこもっているようだ。



「全くセトは…昔からどっかが抜けてんだよねぇ〜」

「悪いと思ってるんすよ、マリー…」

「まぁ、許してくれるだろ。マリーならすぐに、な」



眠そうに貴音がコクコクと眠気を出すころ、ドアから開く音がした。



「わりぃ、遅くなった」

「おう、シンタロー。お帰り」

「お帰りっすシンタローさん!どうだったすか!?」



手に持っている花柄のハンカチを見せる。するとセトは涙を流し、感謝を込めてありがとうと一礼。マリーの部屋へと駆け込んでいった。





「悪かったなシンタロー。セトが迷惑かけた」

「あーそれはいい。それより…」

「ん?」


シンタローが倒れる。そして後ろにいたコノハもシンタローの上に倒れる。


「腹へった…」
「お腹…………すいた」





キドとカノは目をあわせてクスッと笑いだし、キドは腕捲りをしてキッチンへ、カノは堪えられずに嘲笑の声を上げるのであった。

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