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作者: みーこ (総ページ数: 11ページ)
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10・レンジベビー
岸田 歌音
少し昔。電子レンジが普及してきた頃。
カノンという少女に、妹ができました。
カノンとは、9歳年が離れていました。
母親は、妹=ののかにばかりかまってカノンのことは放ったらかしでした。
(あいつが居るから・・・私は、妹なんて欲しくなかった。)
ある日、カノンは復讐をすることを決めた。
別に、殺すなんて気持ちはない。
母親が、パイを焼き始めた。
「カノン、アップルパイ作ってるから見ててくれる?ちょっと、お風呂のお湯溢れてないか見てくるから。」
チャンスだ。
カノンは、電子レンジの扉を開けアップルパイを出しペロリとたいらげた。
そして、代わりにののかを電子レンジの中に押し込みました。
ののかは、寝ているのか泣きませんでした。
「後で、出してあげるからね。」
母親が、戻ってきた。
電子レンジの中身なんて気にせず、バタバタと忙しく歩き回る。
「あれ?止まってる。カノン、開けようとしたでしょ?もう、」
母親は、「温めスタート」ボタンを押した。
「あっ・・・」
「何なの?変な声出さないで、気持ち悪いじゃない。」
ブーーーーーン。
うちの家の電子レンジは大きくて、赤ん坊がすっぽり入る。
しかも、中身がどうなっているか見えにくかったため分からない。
チンッ・・・
ドクンとカノンの心臓が跳ねた。
えっ・・・
カノンは、目を疑った。
ののかがいない。
代わりに黒い炭が、残っているだけだった。
「あら?アップルパイが無い。カノン、食べたわね?」
「・・・ごめんなさい。ねぇ、お母さん。ののかは?」
「誰?ののかって。お友達?」
「妹」
「カノンは、一人っ子じゃない。さみしすぎて、夢でも見たんでしょ?妹の夢。」
どういうこと・・・
あれから、3年後。
カノンは、12歳になりました。
「今日は、カノンがケーキ作るから!」
「カノン、頼んだわよ!」
母親は、にっこり笑いました。
カノンは、電子レンジのボタンを押しました。
中の電気がついた瞬間。
中に真っ黒な女の子がいるのが見えました。
「ののか!」
気がつくと、カノンは真っ白な世界にいました。
「どこ?ここ。」
すると、目の前に真っ黒な女の子がいました。
真っ黒でも、カノンには誰かわかりました。
「ののか。」
「どうして・・・あんな事したの?」
ののかは、炭のように真っ黒で唇もカサカサでした。
「あっ、あっ・・・キモいからこっちこないで!」
「お姉ちゃんも、同んなじ。真っ黒じゃん。」
気がつくと、鏡の世界にいました。
「キャッ・・・」
カノンも、真っ黒な炭でした。
「ね、お姉ちゃん。同んなじ、死んだんだよ?」
・・・妹の復讐。如何でした?悪い子には罰が降りる・・・
悪いことしてませんか?迎えがくるかもしれませんね