完結小説図書館

<< 小説一覧に戻る

だって僕は君が好きなんだから
作者: 呉服  (総ページ数: 6ページ)
関連タグ: カニバリズム 愛してる   
 >>「紹介文/目次」の表示ON/OFFはこちらをクリック

*3*

供述3


そしてついにあの日がきたんだ。
僕はあれから何度か彼女に甘噛みして、飢えをやり過ごしてたんだけど、どうにも我慢できなくって。
僕の家に遊びに来た時に、外に誘って、月を見ないかって誘って…
あ、あぁ、ごめん。ちょっとあの時のこと思い出しちゃって…まだだめ。落着けないや。

気色悪い?君さ、もうちょっとオブラートに包んでいてくれないかな。君だって女の人抱くとき、こういう風になるじゃないか。俺は人前じゃそんな風にならない?あぁそうですか。かっこつけてりゃいいよ、君なんか。

それで僕は彼女によりそって、深い森の中で月を見上げたんだ。満月の方が辺りがよく見えるし、なにより僕自身まだ慣れてなかったから。
彼女の首に甘噛みすると、彼女はむずがってやめてと笑うんだ。
でも嬉しそうに見えたから嫌じゃなかったんだろうね。
僕が強くかむと、一瞬息を詰まらせた後、彼女が僕をのけようと暴れるんだ。
だけどぼくは吸血鬼がやるように首にかみついたまま、用意してた小さなナイフで彼女の太ももを手探りで刺したんだ。

うん、そう。さすがだね。動けなくするためにね。君の言う通り。
褒められてもうれしくないって…素直じゃないね。

悲鳴を上げて頽れる彼女に覆いかぶさって、僕はやっとその夜、初めて満たされたんだ。
その身体をやさしくかんで、噛み付いて、かみ砕いて…全部は食べられなかったよ。僕より小柄だったけど、40キロ以上あるんだし…残しちゃったけど、僕を十分満足させてくれた。
味?どうしてそんなこと聞くの?聞きたいとは思わなかったけど聞きたいなら―そう、やめとくのね。

それで僕は次の彼女が出来るまで、その彼女をゆっくりと消化しながら幸せに過ごしたんだ。
証拠―?骨?全部僕が食べちゃったよ。あの日余ったものも、すぐに食べて…服とかはさすがに森に捨てたけど…。誰この人?え?どこの森だったか?覚えてるけど、3年も前だよ?もう探してもないでしょ。
一応?…あぁ知ってるのその森?そこの一番奥だよ。あ、もう行くんだあの人。
君はいかないの?僕の側にいるって?ふふ、ありがと。


2 < 3 > 4