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だって僕は君が好きなんだから
作者: 呉服  (総ページ数: 6ページ)
関連タグ: カニバリズム 愛してる   
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*5*

供述5


僕は幸せだよ。この指輪、僕が今してる指輪はね、彼女とおそろいなんだ。
正式にってわけじゃないけど、僕たち二人は結婚したんだ。僕のお腹の中に、このもう一つがまだあるんだよ。
きっとこれからもずっと。だって、僕は最愛の人をやっと見つけて、そしてもう永遠に離れないんだから。
誰がどう頑張っても、もう僕の愛しいあの人を奪えないんだから。僕は永遠に満たされるんだ…だから僕を刺してもいいんだよ?

やめちゃうの?刺さないの?ねぇちょっと、誰か呼ぼうか?君がそんなに泣くところなんて見たことないからさ…。
え、なぁに?・・・・・・・もう一回言って?それ本気で言ってるの?
照れちゃうじゃないか。
僕に食べてほしいだなんて…。

そういう意味じゃねぇって…怒鳴んないでってわかってるって。
え?このナイフで?彼女を食べたときのナイフで食べてほしいって?
……そうだね、いいよ。
でもね、ふしぎだなぁ、僕なんでだろう、最愛の彼女の、あの愛しい彼女の味を…今不思議と思い出せない。
ねぇ、僕は君が好きなんだろうか?
ふざけてる、だって?こんな時に及んで何言ってやがんだって…そんなこと言われてもね。
まぁいいや。それじゃあさ、ねぇ、顔を上げてよ。
僕に食べてほしいなら、その首にかみつかせて。


さすがにきついね。僕よりも体の大きな君を平らげるって…。
吐きそうだけど、戻さないよ。ちゃんと食べてあげるから。
でもさ、もう遅いけどさ、君を食べつくしたら、誰が僕のこの供述を記録するんだろう?
君が僕を逮捕したってのに、君が僕に食べられてどうするのさ。
君が僕に食べてほしいだなんていうなんて、君の方こそおかしんじゃないか?
まぁ、もう遅いんだどね。
ねぇ、でも、おいしかったよ、君は誰よりも。
きっと僕は絞首刑かな?君で5人目の人間を食べたんだから。
でもね満たされたからいいんだよ。
ありがとう、僕の愛しき恋人たち。



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