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パフェイン0% (完) 『原題:今日創られる昨日』
作者: 全州明  (総ページ数: 9ページ)
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*7*

 エピローグ  『パフェノリアン』


「・・・・神王様。大変言いづらい事があるのですが・・・・」
「何事じゃテンク。まだあの願いを叶えてから一年も経っておらんじゃろう」
「その事なのですが・・・・あの時、入る扉を間違えてしまったようでして・・・・・・」
「間違えた? とな」
「はい。あと、テゥィンクです。神王様」
「それで、具体的に、何がどうなったのじゃ?」
「はい、もっとこう、舌を口の天井に付けて、下唇と一緒に弾くようにしてテゥィ・・・・」
「いやそのことではなくて、願いのほうじゃ」
「あぁ、そう言えばそうでしたね」
 テゥィンクは、言いづらそうに顔をしかめ、神王から目をそらし、弱々しく言った。
「それが・・・・あの時、私が開いた扉の前に、ちょうどセルゼルノの開いた世・改へと繋がる扉が開いていたようでして、それで、誤って世・改の方に―――」
「それで、結局、どうなったのじゃ? 何が問題なのじゃ?」
 長くなりそうだと思い、神王はテゥィンクの言い訳を制し、結果だけを問う。
「・・・・つまり、世・改に、世界と全く同じような人物がおりまして、誤って、その人物の願いを叶えてしまいました」
「まぁそりゃ同じように造ったんじゃから、外見が全く同じ人間がいて当然じゃな。
 して、その者の願いはなんじゃ?」
「・・・・恋愛成就です」
「そうか。ならまぁ、別にいいではないか。そこまで大した影響はないじゃろうし」
「いえ、それが、問題は、その相手でして・・・・」
「ん? 相手? 世界とは相手が違うのか?」
「はい、そのそれが、その、世・改の方の一目ぼれの相手が、セルゼルノでして・・・・」
「・・・・セル、ゼルノ? というと、あの、有無の神の?」
「はい。間違いございません」
「・・・・まだ、セルゼルノには、バレテおらぬな?」
「はい。しかし、セルゼルノは既に、願った人物、その、悦子という名なのですが、その者に、好意を抱いてしまっているようでして・・・・」
「うーむ。確かにそれはマズイな。では、すぐにその者の願いを取り消し、両の記憶を・・・・」
「それは不可能でございます。神王様」
「何?」
「セルゼルノは、世・改の創造神、あの世界では最強。
 我々の力は全て、効果がありません。ですから、セルゼルノが憶えており、悦子という少女が憶えていないという事になり、記憶の矛盾が生じてしまいます」
「確かにそれはマズイな。では、どうしたものか・・・・」
「神王様、私に考えがあります」

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