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*22*
後ろから、足音が聞こえた。
それとともに、叫び声も。
「俺にはお前を殺る気持ちなんぞない!勇香を見逃すのに、意味を見いだせないだけだ!」
「そんなの俺にだってわかりませんよ、もう誰の命も奪いたくないだけです!」
「お前の将来を考えろ!『フェイク』をクビになったら、取り返しがつかないぞ!」
「俺は俺の将来よりもターゲットの命の事を優先したいんです!殺したら、それこそ取り返しがつきません!」
金属と金属がぶつかり合う音。
その音源が、木々の向こうに見えてきて……。
二人の様子が分かった。
「強志君!」
叫んでも、二人に私の声は聞こえない。
「トモキさん、私がターゲットなら私を狙ってください!」
これも、伝わらない。
強志君がこけた。
それをきっかけに、トモキさんが私の方に走ってくる。
「先輩!」
強志君の声が聞こえて……。
私は、包丁とナイフを取り出した。
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