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*3*
「今回の依頼だ」
差し出された紙には、こう書かれていた。
『丑野 芽依 うしの めい
女
依頼人:江戸間 夕日 えどま ゆうひ
報酬:30億円
殺害期限:2915年5月31日』
読み終えて、礼をする。
「承知しました」
部屋を出たあと、俺―――皐月強志は、薄く笑った。
これでまた、あの快感を味わえる。
俺には、それで充分だ。
目的地に着いた。
ビルの陰に身を潜め、今回のターゲット―――丑野を目視で確認する。
ベルトに取り付けられた弓を取り出し、背中の矢に取り付ける。
割と古い殺し方だが、これだと音が鳴らないので、死亡時刻を特定されないで済む。
目撃者も減る。
矢を放つと、それは真っ直ぐに丑野のもとへと飛んで行った。
矢で頭を刺された丑野は、叫びも上げずに三途の川を渡っていった。
「フッ」
この感覚でしか満足感を得られない自分に向け、鼻先で笑った。
結局……俺を満たせるのは、殺生でしかないんだ。
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