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終わらせよう 【完結】
作者: 独楽林檎 ◆tr.t4dJfuU  (総ページ数: 26ページ)
関連タグ: シリアス・ダーク 長編 殺し 
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10~ 20~

*4*

「だからさぁ、教えてってば☆」

 その日、私―――雪田勇香は、今日出会ったばかりの男と甘い会話をしていた。

 その陰には、このような話がある。

〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜

『殺し屋、始めました』

 ポスターを貼った私は今、この瞬間から殺し屋になった。

 理由は両親。

 感傷心を込めて、後ろを向く。

 その方角、約1km先の位置には、お父さんとお母さんがいる。

 そこは―――墓場。

 働き手が居なくなった私は、すぐにできる金儲けをしなければならない。

 両親が死んでしまったのがきっかけで殺し屋を始める、これは少し矛盾しているように思えるけれど、仕方がないんだ。

「なあ、姉ちゃん」

 なりたての殺し屋に、いきなり声がかけられた。

「はい」

 緊張していたのもあって、声が震える。

「頼もうか、こいつを殺してくれ」

 顔写真が差し出されたという事実に気が付き、それを受け取る。

 これは―――依頼だ。

「さ、殺害期限は……」

「そうだな、今年中だ」

「では、2915年12月31日まで、ということで……」

「ああ。こいつの名前は幸野岳。報酬は1億な」

 期限は長め、報酬は低めなような気がする。

「し、しょっ、承知しました」

 著しくつっかえながら、礼をする。

〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜

 つまり、隣の男は幸野さん。

 今回のターゲットだ。

「だってぇ、いろんなコト話したいんだもん〜」

 甘えた声を出せば、結構効くようで。

「あ〜、そうだね……じゃあ、今日は僕の家に泊まっていく?」

 出会った初日に家に泊めてくれる、この甘さ。

 よかった、チョロくて。

「うん!嬉しいな、ガッくんの部屋をこの目で見られるなんて」

 ガッくんとは、幸野さんの事だ。

 私は酔っている……ということにしてあるが、13歳、飲めるはずがない。

 相手の方も酔っぱらわせておいた。

 それを気軽に飲むのも、チョロい。

 これはいけそうだと……そう、思った。

〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*

「じゃあ、おやすみ」

「うん、おやすみ」

 そう言って、幸野さんは寝室へと入っていった。

 もちろん、このまま寝るわけでは無い。

 バッグから折り畳みナイフを取り出して、

「待って!」

 引き留める。

 もちろん相手は振り向いて、

「何?」

 その返事をされると、もうすでに、私のナイフは彼の大動脈辺りを貫いていた。

「あ……」

 ナイフを引き抜いた時には、幸野さんはすでに亡くなっていた。

「終わらせた、あなたの夢……」

 怖くなって、持ち物を持って私は幸野家を飛び出した。

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