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恋乃手紙
作者: 伊吹吹雪 ◆u2YjtUz8MU  (総ページ数: 61ページ)
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10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~

*3*

いつも通り、私は歯を磨き、顔を洗い、化粧水をつけ、髪を梳かし、ゴムでひとつに結わえた。

いざ告白となると、有季に会うのは「いつも通り」なのに、ドキドキする。
クリーニングに出しシワひとつない制服を着ると、「学校」って感じがする。
制服は、緊張してドキドキして、火照った体を冷やしてくれるような気がした。

校門の前、そして奥はワシャワシャと混んでいた。
その中に、有季の後ろ姿を見つける。
「有季ー」
え!?

有季が
ー私以外の女子と歩いてる。

後ろから見ただけでも分かる。
あれは、カップルが並んだときの歩き方だ。

有季と彼女が一緒に笑う。
2人の肩が同時に揺れる。

私の心が同時に揺れる。

嘘でしょ。
ー嘘じゃない。
有季は私の幼なじみなのに。
好きって言ってもらったことはないけど、自分が特別好かれてる自信はないけど、
自分以外に、特別な関係を持つ女子がいるなんて思えなかった。

こうして、私・斎藤 澄怜の、初恋の告白は、突撃もせずに砕け散った。

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