完結小説図書館

<< 小説一覧に戻る

恋乃手紙
作者: 伊吹吹雪 ◆u2YjtUz8MU  (総ページ数: 61ページ)
関連タグ:
 >>「紹介文/目次」の表示ON/OFFはこちらをクリック

10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~

*54*



私の番号あるかなぁ……。

今日は高校受験の合格発表の日。

私は、先生に「ギリギリかもしれない」と言われたが、俊(と澄怜と有季)と同じ高校を受けた。

221、221…。

「よっしゃあー!」
人ごみの中なのに、俊の喜ぶ声が聞こえた。

私は……

『221』

あった。

「お母さん、あったよ、私の番号!!」
「本当、良かったねぇ!」

母に報告してから、俊のところへ行く。

「いやぁ、大澤さん合格おめでとうございます。」
「いえいえ、そちらこそ。2人とも受かって良かったです。」

親たちが、雑談に入ったところで、私は、俊も呼ぶ。

この日のために、ずっと心にしまっておいた気持ちを言う。
スマホのメールとかで言うこともできた。
だけど。

「俊、ちょっとこっち来てよぉ。」
「えー、でも。」
「いいから、いいから。」

合格発表掲示板の前の人ごみから、俊を連れ出す。

周りの声が聞こえなくなる。
周りが視界から消える。
周りの、時間の流れが止まる。
「あたし、実は…」




「…俊のことがずっと好きでした。」





彼の顔は、次第に赤に染まっていき…



「俺も、好きだったよ、麗子のこと。」


静寂の時が訪れる。


それをぶっ壊したのは…。

「おお、俊!」
「ああ、俊と麗子じゃん!2人とも受かったんだってね。」
…仲良くご登場してきた、有季と澄怜。

「あれ、どうしたの!?」
澄怜が聞く。

「2人とも赤くなっちゃって。」

「あ!」
有季が気づいたように言う。

「俊、そうか、おめでと、だぜ。」
「2人とも、やっとくっついたんだ。」

『やっと」って何だ。

「いやー、あたしと有季、2人がお互いに好きなの、知ってたんだよね。」
「2人とも、意識しまくってんの、バレバレなのによー」
「全然、何もしないからさぁ」

ニヤニヤ笑う澄怜と有季。


再び、静寂が訪れる。


その静寂を破るように、俊が言った。

「4人で、カラオケ行こう!」
「うん、行こうぜ!」

私は思い出した。

いつの日だったか、4人で、映画を観に行ったよね。
あのときと関係は変わってしまったけれど。
4人でいて、4人で笑ったら、きっと楽しいよね。

「うん、カラオケ行こうよ!」
4人で顔を見合わせて笑う。

その、俊の笑う横顔を見て、思った。



俊、大好き。






53 < 54 > 55