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*38*
終章
「おーーっしゃあ!!」
アーサーが、喜びの声を上げた。
フレドリカが息を切らしながら、「やったあ……!」と呟いている。
「やったな、フレドリカ!」
「――うん!」
「でも、本当に強かったわね……。一体、いくらの冒険者がやられてきたのかしら」
――確かに、いくらの冒険者が倒されてきたのだろう。
……でも、もう、冒険者が王者に倒されることもなくなる。
「さすがだよな、俺たち! ホントに倒したんだもんな!」
「――ああ」
――確かに、そのとおりだと思う。
空を見つめる。
空は、いつもどおりきれいな青空だった。
ヒュルリ――
「――?」
不意に、俺に木の葉があたる。
……倒したんだな、あいつを。
……男性の、声がした。空からだ。
そして、姿も見えた。それも、空から見えた。
――黒髪の、青い目をしたソードマンだった。
……フィカルナ、ありがとう。がんばれよ。
――ディオン、なのか――?
「……ああ。がんばるよ――」
澄み渡る青空に向かって、呟いた。
そして、涙目になっているフレドリカへと振り向く。
「……えっ?」
そのまま――俺は彼女の手を握った。
フレドリカが驚きに目を見開く。
「ツバサ?」
「ディオンたちの仇はとった」
だから――。
「フレドリカ、行こう――記憶を取り戻しに!」
――ずっと、護ってやる。ずっと、キミと一緒にいる。
だから、俺の名前を呼んでくれ――。
「次はキミの番だ!」
少女は頬を赤く染め――笑顔になった。
「――うん、ツバサッ!!」
〜 三話・完 〜
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