完結小説図書館
>>「紹介文/目次」の表示ON/OFFはこちらをクリック
*3*
夕食も食べ終わり、私達3人は部屋でトランプをして遊んでいた。
真希ちゃんは本当にポーカーフェイスで、ダウとでは誰も嘘を見抜けなかった。
「強いよー、真希ちゃんー」
「へへーん。トランプは得意なんだよ!」
「真希本当にポーカーフェイス得意だよね。将来詐欺師やってもいけそうな」
「待て待て待て、人の将来を犯罪者って、ちとせ私の事なんだと思ってたの!?」
一通りのゲームをして休んでいた。
「あ、恋ちゃんー。1つ聞きたいんだけどさー」
真希ちゃんが真剣な顔になる。
「何?どうしたの?」
「…そなたは九石優也殿のことが好きでございますな?」
真希ちゃんは名探偵のようなポーズをして(何故か口調まで変えて)言ってきた。
「んな訳あるかいっ!だってあいつものすごい不愛想だよ!?その癖にムカつくことしか言わないよ!?」
ばれたくなくて必死に言っているが、顔が真っ赤なので、説得力が全くない。
「いやね、妙に仲良さそうに見えるけど、恋ちゃんが恥ずかしそうだったから、もしやと思って。」
ごめん、ごめん、と笑う真希ちゃん。
案外ばれるものだな。自分では秘密にしているのに。
「私は恋愛とかそういうの全く分かんないや」
そういうちとせちゃんでさえ、私の方を見てにやにやしてきた。
「2人は好きな人とかいないの?」
昨日であったばっかりなのに、踏み込むねぇ、と真希ちゃんは言うけれど、初めに話振ったのあんただからな。仕返しだ。…関係のないちとせちゃんには悪いけど。
「さっきも言ったけど、私は恋愛下手で、好きな人居ないから…。真希はモテるけど、理想が高いから非リアって感じかな」
自分について言っているときに、一瞬ちとせちゃんの顔が曇ったような気がしたのだけれど、気のせいだと思いたい。
「高くないよ!?理想高くないからね!?イケメンで、優しくて、数学出来て、意地悪なこと何も言わなくて、物静かで、運動もそこそこできて、背が高くて、太ってなくて、そこまで貧乏じゃなかったら、誰でもとは言わないけど、誰でも良いよ!」
「…十分高いね、ちとせちゃん。」
「でしょ」
「えぇぇぇぇ!?」
ショボーン、となる真希ちゃん。確かにそう言う人はそこそこいないね。そこそこ。
空気を読まないように、ケータイのバイブ音が部屋に鳴り響く。
「誰の?」
「…私のだ、ごめん」
この時代に未だガラケーというのが少し情けないけれど、結構使いやすい。使いこんでいるから、と言うのもあるが。
「九石からメールだ…」
「おぉ!?噂をすれば!?なになに、告白!?」
「それはないと思う」
騒ぎ出す真希ちゃんを差し置いて、文面を見る。
受信メール
差出人:九石 優也
件 名:今、暇?
今、もし暇なら共有スペースに来て。
面白い問題出す。
「デートじゃん!?行ってきなよ〜っ!」
「いや、多分数学して終わりだと思う、真希ちゃんの期待する展開にはならないと思うよ!」
「結果教えてね、飴野夜ちゃん…!」
「ねぇ、なんでちとせちゃんまで私が告るみたいになってるの!?ねぇ、何で!?しないよ!?告白なんてしないよ!?」
冷やかされながらも、私は共有スペースに向かうことにした。