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罪人の娘 「end」
作者: 水沢麻莉衣 (総ページ数: 27ページ)
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作者: 水沢麻莉衣 (総ページ数: 27ページ)
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*15*
あすのせいで?
パパはいつも本家の人に頭下げてる。
もともとママとは契約結婚だからママが死んだ時にはもう、パパは本家所属になり、この屋敷から出て、本家に戻っていい契約となっていた。
それでもパパは私のために。
私のために。
ここでこうして居てくれているのだ。
こんな約束破るような娘のために。
もう罪悪感なんてものではない。
私は最低だ。
「あしゅちゃんは…お部屋、入ってて?」
「でっ、でもっ…!!」
「大丈夫。パパがお話するから、ね?」
「うんっ…」
甘えてばかり。
こんなときばっかり頼ってしまうのだ。
諜報部隊の人は怖い。
パパだって怖いはずなのに。
諜報部隊なんて話は聞かない。
聞いてる振りして聞いてないんだ。
ただただ、当主に忠実であれ、って。
本家のお坊ちゃんだろうが関係ない。
当主以外の話は聞かない。
それでもパパは私のために。
話をまた、つけてくれようとしているのだ。
まだ、ここにいます、って。
私がもう少し大きくなるまで、って。
パパぁ…ごめんねぇ…
「お願いいたします!!もう少し大きくなるまでっ…!まだっ、小さいんだよっ、まだ18だからっ…かいとがっ…パパがまだ必要なんです…ママがいないから…、マリーがいないから…」
「海斗様。そればかりです。もういい加減帰りましょう。秋雨様もお困りですよ。」
「貴方達だって…そればかりです。かいとの話なんて聞きやしないじゃないですかっ…!」
「海斗様!!いい加減にしてください!!!」
ビクッと身体を震わしたのがわかった。
ほら、パパも怖がってる。
ママがいないから、守ってくれる人はパパにはこの屋敷にいない。
久美子さんだって使用人には違いないのだ。
パパは一言、こう言った。
「マリーぃ、たすけて…」
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