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罪人の娘 「end」
作者: 水沢麻莉衣  (総ページ数: 27ページ)
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10~ 20~

*15*

あすのせいで?
パパはいつも本家の人に頭下げてる。
もともとママとは契約結婚だからママが死んだ時にはもう、パパは本家所属になり、この屋敷から出て、本家に戻っていい契約となっていた。

それでもパパは私のために。
私のために。
ここでこうして居てくれているのだ。
こんな約束破るような娘のために。

もう罪悪感なんてものではない。
私は最低だ。

「あしゅちゃんは…お部屋、入ってて?」

「でっ、でもっ…!!」

「大丈夫。パパがお話するから、ね?」

「うんっ…」

甘えてばかり。
こんなときばっかり頼ってしまうのだ。
諜報部隊の人は怖い。
パパだって怖いはずなのに。
諜報部隊なんて話は聞かない。
聞いてる振りして聞いてないんだ。
ただただ、当主に忠実であれ、って。
本家のお坊ちゃんだろうが関係ない。

当主以外の話は聞かない。

それでもパパは私のために。
話をまた、つけてくれようとしているのだ。
まだ、ここにいます、って。
私がもう少し大きくなるまで、って。

パパぁ…ごめんねぇ…

「お願いいたします!!もう少し大きくなるまでっ…!まだっ、小さいんだよっ、まだ18だからっ…かいとがっ…パパがまだ必要なんです…ママがいないから…、マリーがいないから…」

「海斗様。そればかりです。もういい加減帰りましょう。秋雨様もお困りですよ。」

「貴方達だって…そればかりです。かいとの話なんて聞きやしないじゃないですかっ…!」

「海斗様!!いい加減にしてください!!!」

ビクッと身体を震わしたのがわかった。
ほら、パパも怖がってる。
ママがいないから、守ってくれる人はパパにはこの屋敷にいない。
久美子さんだって使用人には違いないのだ。
パパは一言、こう言った。

「マリーぃ、たすけて…」

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