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罪人の娘 「end」
作者: 水沢麻莉衣  (総ページ数: 27ページ)
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10~ 20~

*14*

「あしゅちゃん・・・・・どうして?」

帰ってこないの?パパは初めにそう問う。
私は、ひたすら黙る。
ーーー悪くない。これが普通なの。
謝ってはまだ振り出しに戻る。

せっかくのーーー自由。

監視されてきた私の精一杯の自由なのだ。
パパは黙る私を優しく撫でた。
どうして?
怒ってよ。

「カイト様。すこしご自由にさせすぎなのでは?」

「えと・・・・・すみません・・・・・」

「秋雨様もお困りですよ。そのように水沢のものが、自由に男と二人なんて。恥ずかしいです」

「え?男・・・・・?」

パパは惚けてしまう。
彼氏いるなんて、知らなかったよね。
ごめんなさい。

「水沢の監視かの下、貴方と姫はこの屋敷にいるのですよ?本来ならば、契約結婚ですから、ここの当主であるジュリ様が亡くなった時点で貴方は屋敷にかえるのが普通なのですからね」

「分かっています・・・・・」

「それならいいのですがね」

諜報部隊の人はこれが普通なのだ。
本家の坊ちゃんであろうと、これが普通。

パパはいつもいつもわたしなんかのために頭を下げている。
まだわたしは小さいと、いつも頭を下げている。

『やだぁぁぁぁぁ!!!触らないでえええ!!』

『カイト様!往生際の、わるい!』

『ひどいこと、するんでしょ!?カイトのときみたいにっ!!』

『カイト様!!渡しなさい!!』

『人の娘に触らないでえええ!!』

『このっー!』

『うあっ!うっ!いだぁいっ!!』

『早く渡せ!』

『カイトには、なにしてもいいからあっ!!娘にはなにもっしないでぇ・・・・・』

あの日のようにまた、私のせいでなってしまうのだろうか。

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