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罪人の娘 「end」
作者: 水沢麻莉衣  (総ページ数: 27ページ)
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10~ 20~

*17*

「は?監視をといて欲しい?」

意味がわからない。
海斗はそんなことが、できると思っているのか?
や、話のわからない奴じゃない。
何つったって、ルフェリの名医と知られる奴なのだ。

できないと知っててアタマをあたしに下げているのだ。
あたしの幼なじみが。

「ちょ、待てよ。な?わかってんだろ?お前の状況くらいは」

コク、とうなづく。
やはりわからない。意味がわからない。
わかってるなら、なんで。
これ以上の自由がお前にも娘にもあると思っているのか?
あるはずがないのだ。

「わかってる。わかってるよ。でもねっ、少しだけ・・・・・といて欲しい・・・・・。あしゅちゃんだけでいいから・・・・・」

「なぁ。いくらお前の頼みでもよぉ。・・・・・叶えてやりてぇけどよ、無理だそれは。ごめんな」

「お願い・・・・・っ!みる!!お願いします!」

「頭下げんな。上げてろ。話はきくからよ」

海斗はすこしホッとした様子であたしを見る。
どこか、安心しているのだ。
幼なじみだから。

「あのね・・・・・諜報部隊の監視キツすぎると思うんだよ?・・・・・うん、だから・・・・・っ!

あしゅちゃんお年頃だし・・・・・男の子と遊びたいとか、自由にみんなとお買い物したいとか思うでしょ?
それが普通なんだよ・・・・・、あしゅちゃんが悪いわけじゃない。

監視がキツすぎるから少しのお買い物も遊ぶ事も制限される。遊ぶ位許してあげて欲しくて・・・・・みるだってわかるでしょ?同じ女の子なんだよ・・・・・。誰だってそうゆう時期あるから・・・・・、お願いっ!」

海斗は必死にあたしに頼んだ。
娘のために。

頼りなくていつもあたしについて来たくせに。いつから人の世話が出来るように、なったんだよ?あたしに怖いよぅとか言ってたじゃねぇかよ。
すげぇよな。

家族ってここまで、人を変えちまうんだからよ。

海斗は大人になったのだ。
一人になった。孤独とは違う。自立。
娘の事を考え必死にあたしに頼んでいるのだ。

応えてやりたい。
応えてやりたくてしかたなかった。

だが、現実はそう、甘くない。

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