完結小説図書館
>>「紹介文/目次」の表示ON/OFFはこちらをクリック
*14*
story4 神々戦争
****************
それは突然だった。
夜、12:58のこと。
何か嫌な気配がしたのにわたしは気づき、カオルくんを起こそうとすると、カオルくんはもう隣には居なかった。
ーーーー?
一体どこに行ったのだろうか?こんな時間に。
わたしはシェルターを一度出る。
「ーーーーっあ!?!」
見たことのない景色。
もうわたしの知ってる学院の景色は何一つ残ってはいなかった。
殺風景。
この一言に尽きた。
ほんとうに殺風景なのだ。
あったはずの、木々たちはもう燃えてしまっていた。
あったはずの、学院はもう原型を保ってはいない。
わたしたちの地下にあるシェルターだけは無事だった。
そして、空で繰り広げる神々戦争。
「早く死になさいよ!ルシアあああ!!!許さない!許さないわ!!」
「使いの身で生意気だなぁ、クレアは」
クレア!?
あの金髪の足まである髪をなびかせているのがーーー魔法界の使いと呼ばれるクレア神!?
ってことは、あの茶髪の人がルシアさま!?
魔法界を司るーーールシアさまなの…!?
ほんとうにーーー神々戦争なんだ。
ばしゅううううっ…
「あっ…きゃあああああ!!!!…んのっ、ルシアあああ!!!ふっざけんなぁ!!!」
クレアさまが…!
左半身を失ってる…!
「あああああああっ…ああ…っ」
血が吹き出す。
クレアさまから血が吹き出す。
血は止まらない。
吹き出し続ける。
だめだ…!これ以上したら、クレアさまが!!
「お兄さん。ボクは戦争は嫌い」
水色の神の男神ーーーー?
この人はーーー。
もしかして、魔法界の使いの一人、アレンさま?
「アレンか。ボクと楽しまないかい?」
「遠慮するよ、お兄さん。ボクはね、レイアさまに頼まれて止めに来たんだ」
レイアさま…?
その人って…学校で習った…、人間界を司る神?
その人が止めるように指示したってこと?
いい人なんだ…。
「美嘉?何してるの?危ないよ?」
「か、カオルくんこそ何してるの?」
キュイイイイイイ…シュッ…ばしゅううううっ
すごい音…!
「まずい!いまので…シェルターにつながる階段が燃えた…」
「えっ!?
どうしよう!!どうすれば…!?」
パニックだった。
シェルターにはもう戻れない。
シェルターから出るんじゃなかった!
なんでこうなるの…!?
もう…!!
「おやおや。何をしているだい?可哀想に。
戻れなくなったのかい?」
ーーーー!!
る、ルシア神!!
なんでわたしたちなんかに…!
「貴方のせいで僕たちはシェルターに戻れなくなりました。」
カオルくん…!
アホですか!何言ってるの!?
怒らせたらどうするの!?
「はははは。それは悪かったねぇ。ーーーっと!」
後ろからめがけてきたクレアさまの攻撃を可憐によけるルシア神。
クレアさまはまだ血が吹き出していた。
「だめですよ!
これ以上!クレアさま!!」
「小娘!わたしに命令しないでちょうだい!」
「…っでも!」
「だまれ!」
…神々しい神様が…。
なんでこんなことに。
「ひゃははははは」
「ーーー?!」
なに!?
この恐怖感は!?
いや!
怖いーーーー!!!!
感じたことのないこの恐怖!
それなのに、カオルくんは、無表情を貫き通している。
「ルリも仲間にいれてよ。いいよね?ルシアちゃんもクレアちゃんもアレンちゃんも!」
「…リリア神…!」
神々たちが一気に顔色を変えた。
それ程に恐ろしい神なのだろうか?
まだこれは序の口だったのだ。
ほんとうの、恐怖は戦争は。
これからだったのだ。