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*16*
血がたぎるーーーー。
なに?この感覚ーーーー!
やだ。助けて。
熱いよ熱いよーーーー!!
身体が…っ燃えるように…熱いぃぃぃ…!
なんで…っ。
わたしが乗っ取られるの…。ルリちゃん…わたしのこと乗っ取らないって言ってたのに…!
身体かえすって言ってたのに…!!
『殺人鬼神ーーー』
この単語が頭を横切った。
ああ。
信じてはいけなかった。
もう戻せない。
わたしは一生このままのっとられたままーーー。
****************美嘉
「ねぇ、貴方は知ってる?リリィのことを」
ーーーリリィ?
わたしはそんなひとーー知らないのにーーー。
「知らないって?そんなこと言わせないよ?
よく一緒にいるじゃなーーーい?リリィだよ、リリィ!
わからないの?」
え?
いつも…一緒…?
わたしと…?
そんな人居やしない。いたら、わたしだって…!
こんなにならなかった…!
「はぁ。
まだわからないの?」
「いつまでそうやって、独りでに楽に生きていくの?それが一生通用すると思う?思わないよね?
はやく気づきなよ。」
ーーーでもわたしほんとに…!
そんな人…いないのに…!
この人たちはなにをイッテルノ…!?
「嫌な事からすぐ目を背ける。貴方の悪い癖だよ。自分の幸せを無かったことにする。全部全部…!
忘れちゃいけなかったものだってあるはずなのに。
大切にしまうべき物があるはずなのに…」
ーーー忘れちゃいけなかったもの…?
わたしなんかに…?
そんなの、ないよ…?
なんで…っ?
なんの事を言いたいの!?
「貴方の記憶。
ずっと思い出してみてよーーー
懐かしい記憶。
悲しい記憶。
愛された記憶。
嬉しかった記憶。
さみしかった記憶。
いろいろあったでしょ?その中でも大切にしまうべき物があるはずなんだから…!
全部ないなんてひどいよ。無かったことにするなんてひどいよ。
相手はおぼえてるかもしれないよ?
それなのに貴方は…!!」
ーーーーハッ…。
思い出す思い出す思い出す思い出す思い出す思い出す思い出す思い出す思い出す思い出す思い出す思い出す思い出す思い出す思い出す思い出す思い出す思い出す思い出す思い出す思い出す思い出す思い出す思い出す思い出す思い出す
そうだよ。
あるじゃないか。
わたしの忘れちゃいけなかった記憶…!
母さんの記憶。
カオルくんとの優しい記憶。
わたしだってあるーーー。
「それが忘れちゃいけなかった記憶だよ」
「そしてーーー」
凛とした声。
後ろを振り向けば
「過去を含めたもの、全てが貴方よ。
貴方はその記憶が、積み重なって今を生きているんだわ」
青い髪。
エメラルドグリーンのドレスーー。
「わたしはレイチェル。貴方の記憶を司る神。」
ーーーーえ?
わたしの記憶を…?
「わたしは貴方のお母様に造られし神。
貴方は幸せ者だわ。ここまでアイサレテルのだもの
わたしにはわからない愛を貰ってるわ」
どういうこと?
母さんは私が、いらなくて捨てたのに…。
混乱してしまう。
「まだわからないの?」
稟璃海神は言った。
わからない。
「わたし、稟璃海。
貴方の『寂しい、悲しい』を司る神なのよ」
ーーーえ…。
「わたしたちはね、貴方のお母様から命令を下されてるわ。
貴方に「愛しの記憶」を蘇らせると言う命令を」
「最初から貴方は愛されてたんだよ」
この神々はわたしのなかの記憶の、神様…?
母さんが…造った…?
カミサマ…。
わたしのために造ったカミサマ。
ああ。
なんだ。
こんなに、愛されてた。
そんなことに気づいてないなんてわたし、どれだけ罰当たりなのだろうか。