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繰り返される永遠の物語〜魔法界編〜
作者: 夕月カレン  (総ページ数: 27ページ)
関連タグ: ファジー  王国 
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10~ 20~

*23*


カオルくんはとうとう陣を書き上げた。
ああ。
書き上げてしまったのだ。

「カオルくん…ほんとに…」

「君のためなら死ぬのも怖くない」

カオルくんはいつも通りだった。
ほんとうにいつも通りだった。
それでもわたしは優しく微笑む。
その笑顔がわたしには辛かった。
わかってる?
ちゃんと。理解している?
陣を書き、魔法を唱えるのことの意味を。

「そんな顔しないでよ。君ならわかってくれると思ってたんだけどな。」

「わかってるよっ…けどっ…これでいいの?」

「君に少しでも恩返しをしたいからね」

恩返し…?
命を削ってでもする恩返しなんてーーないよ。
それに。
恩返ししなきゃいけないのは私の方なんだから。
お願いだから。
やめてよ。

やだよ。やだよ。
いつも隣にいてくれたのはカオルくんだけなんだよ。
隣で笑ってくれるのも。
話を聞いてくれるのも。
ずっと一緒に。
いつも通りに、音楽を聴けたらって。
一緒に話して。
音楽を聴いてーーー2人でーーー。
ずっと一緒にって。
そんな叶わない夢がいっぱいでてくる。
わがままで醜いわたしがみえる。
こんなわたしといてくれたカオルくん。
優しいカオルくん。

「君のためだから。僕は君に教えてもらったことが沢山あるんだ。
忘れていた思い出をーーー蘇らせてくれたでしょ?
って、君は知らないか。」

何言ってるの。
教えてもらったのは私の方。
母さんに貰えなかった愛情をくれたのはーーーカオルくんだけなんだよ。

「カオルくんだけが愛情をくれたんだよ…」

「ははっ。それは良かった。僕が司どるのは愛情だからね」

ーーーえ?
いまなんて?
愛情…?

「司る?」

「え?ああ、そんな事言った?忘れてかまわないから。」

「うんーーー」

カオルくんは目を細くする。
そして口を開く。

「闇に迷いし光を見つける闇の精霊よ。今こそ我に戻るがいいーーー」

ああ。
とうとう唱えてしまった。
魔法をーー。

「汝、われの元へ。ーーー光の魔女ーーー」

その瞬間、光に包まれた。
温かい光に。
レイコちゃんがーーーいた。

「あれ?美嘉ちゃんー」

そして私は見た。
カオルくんの方が少しずつ崩れ落ちるのをーーー。

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