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*3*
牙鬼軍団のアジトでは、晦正影が十六夜九衛門を呼び出して何やら話をしています。どんな話をしているのでしょう。
「これ、八衛門」
「九衛門でございまする!」
「そうだったの、八兵衛」
「誰が水戸黄門ですか!」
「フォフォフォ……」
憤慨する九衛門に対し、穏やかな微笑む正影。
ですが次の瞬間、彼は得物である杖と槍が一体化したものを彼の喉元に向けます。
「正影様、何をするのですか」
「フォフォフォ……十衛門。蛾眉は騙せても、このワシは騙されんぞ」
「私があなた様を騙すなんて滅相もござまいません」
「ではこれは何だというんじゃ!!」
九衛門の目の前に彼が見せつけたのは、シチューの入った大鍋です。
「わしは買い物前にお主に忠告しておったはずじゃ。今夜はカレーが食べたいと。じゃが、これはシチューではないか?」
「左様でございまする」
「さて、お主はこの現状をどう説明するつもりじゃ」
九衛門は袖を口元にあててコホンとわざとらしいせきをした後、口を開きます。
「カレールーが売り切れていたのでございまする」
「……それなら仕方あるまい。許してやるとするかのぉ」
上司に許された九衛門は密かに腹黒い笑みを浮かべ、好物をお腹いっぱい食べました。
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