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*4*
快晴の土曜日、シュバルツ将軍から十六夜九衛門宛てに決闘状が届きました。
「やっと来たか。それで、場所はどこを指定したのかな……?」
どこか嬉しそうに封筒を開け中身を確認した彼は、驚きのあまり目を見開きました。
「こ、コレは……!」
翌日。
九衛門とシュバルツ将軍の二名は、国立競技場に来ていました。
競技場の人工芝の中心部には白いプロレスのリングが設置されています。
「いやぁ、流石の僕も驚いてしまったよ。まさかプロレスで雌雄を決するなんて考えてもいなかった」
「フフフフ、私は手裏剣戦隊ニンニンジャーを毎回録画し、貴様の僅かな戦闘シーンから打倒策を考えた。このリングの上ではあらゆる武器の使用が禁止されている。
私の剣も貴様の小槌もな」
そうなのです。
九衛門にとって小槌は大事な武器。
これがないと雷召喚の術や肥大蕃息の術、がじゃろくろ召喚の術が使用できなくなるのですから、苦戦するのは必死です。
しかしながら彼はそれはそれで面白いと考え、潔く小槌を放り投げリングへ上がります。
続いて将軍も剣を下に置き、ひらりとロープを飛び越えリングインしました。
カーン!
どこから鳴らされているか分からないゴングが鳴り響き、因縁の対決の幕が切って落とされました。
「うおおおおおっ」
「はあっ」
両者共に突進していき、肩をぶつかり合わせます。
ですが体格的に有利な将軍がタックル対決は制し、九衛門をビックブーツで蹴ってロープへ跳ね飛ばします。跳ね返ってきた彼を受け止め、パワーにモノをいわせて再度スープレックスで放り投げ、堅いマットに叩き付けてしまいました。
「どうした九衛門。小槌がなければ貴様の実力はそれだけしかないというのか!?」
彼を煽りつつその顔面を踏みつけようとしますが、狐面の物の怪はそうはいかないと足を受け止め彼を転倒させますと、素早く起き上がってコーナーポスト最上段へ大きくジャンプ。
「ウフフフ、アハハハハハハハハハハハハハ!!」
ムーンサルトプレスを敢行しますが、体重が軽いため将軍が待ってましたとばかりに担ぎ上げてしまいました。
「十六夜九衛門、我がグリッタ嬢におとなしく人気を譲るがいいっ!」
激しくカナディアンバックブリーカーで背骨を攻めますが、彼は笑ってばかり。
「小癪な! ならばこれはどうだ?」
空高く相手を打ち上げ、それを追いかけ背中合わせになると両腕で頭をクラッチし、両足で相手の両足もロックして、そのまま落下していきました。
「マッキンリー颪(おろし)〜っ!」