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*6*
静雄が一人になった後、臨也が静雄にナイフを突きつける前。およそ1時間ほど時間をさかのぼる。
(クリスマス、か)
いつもとすっかり変わった街の様子を見て、静雄は自分の恋人を思い浮かべる。なにかプレゼントすればあいつはどうするだろう、何をプレゼントすればあいつは喜ぶだろう、と、こうなればもういっぱしの彼氏だ。
ぼんやりしている、と上司から心配されたが、それの原因もその恋人である。
先日、クリスマスには仕事があるというと、思いっきりへそを曲げてしまったのだ。
(へえ、そう。他の彼女のとこ行くんだ)
(いっつも一緒にいる金髪の娘とか? あの娘、可愛いもんね)
(もしかして、嫌なのかな。嫌いになった?)
そんなわけがない。だが、その時にはもう手の付けようがなかった。静雄の恋人は人一倍ひねくれているおかげで、拗ねるとなかなか元に戻らない。正直なところ、拗ねている時も可愛いと思っているが。それを言うと今度は別の方向で色々と面倒なのと、静雄自身がそういったことを言えるタイプではないため、恋人は未だにそれを知らない。
しばらく歩いていると、ある店のショーウインドーが目に入った。正確にいえば、その中の商品の一つに吸い寄せられた。
(なんとなく・・・・・・あいつに似てるな)
それに自分の恋人の姿が重なり、静雄は店内に足を踏み入れた。
「すみません・・・・・・これ」
そして、その恋人――臨也を抱きしめている、今に至る。
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