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*4*
* 4話
その日以来、いつものように毎日が過ぎていった。もちろん、星はその次の日母さんや父さんに怒られていたが、明るく笑っていた。昨日の夜のことが、嘘のように。
「ねえ、衛」
通学路を歩いていると、星が明るい声で言う。その元気な声を聞くと、不安になってしまう。笑顔を見ると、悲しくなってしまう。あの日から、僕の感覚は狂ってしまったようだ。
「わたしさ、あの家……出ようと思うの。もっと言うと、外国にでも行こうかなぁ……なんて、思ってるの」
「えっ!? なんで……」
あまりにも驚きすぎて、むせてしまう。何回か咳き込んで、星に背中をさすられてしまう始末だ。それにしても、突然、なんで?
「……大丈夫? ハハッ、そんなに、驚かないでよ」
悲しみが混じった、変な笑顔。ほら、また。なにかが違うような、気がする。
「冗談だからさ、忘れて」
星は空を見上げた。清澄な青い空を。
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