完結小説図書館

<< 小説一覧に戻る

サテライト
作者: 左右りと  (総ページ数: 7ページ)
関連タグ: 左右りと サテライト 衛星 恒星 意味不明 悲恋 
 >>「紹介文/目次」の表示ON/OFFはこちらをクリック

*4*



* 4話


 その日以来、いつものように毎日が過ぎていった。もちろん、星はその次の日母さんや父さんに怒られていたが、明るく笑っていた。昨日の夜のことが、嘘のように。


「ねえ、衛」

通学路を歩いていると、星が明るい声で言う。その元気な声を聞くと、不安になってしまう。笑顔を見ると、悲しくなってしまう。あの日から、僕の感覚は狂ってしまったようだ。

「わたしさ、あの家……出ようと思うの。もっと言うと、外国にでも行こうかなぁ……なんて、思ってるの」

「えっ!? なんで……」

 あまりにも驚きすぎて、むせてしまう。何回か咳き込んで、星に背中をさすられてしまう始末だ。それにしても、突然、なんで?

「……大丈夫? ハハッ、そんなに、驚かないでよ」

 悲しみが混じった、変な笑顔。ほら、また。なにかが違うような、気がする。

「冗談だからさ、忘れて」



 星は空を見上げた。清澄な青い空を。


3 < 4 > 5