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*14*
母(千代)は口を開いた。
「雫と涼にはどちらの家族につくか決めてもらいたいの」
「ちょっとどういうこと?」
雫が困惑した顔で体を揺すってくる。
「僕には何とも言えない...」
「あくまでも二人の意見は尊重する。どちらでもいいの」
辺りに沈黙が流れる。
沈黙も破ったのは雫。
「私は今の家族がいい...昔のことはあまり覚えてなくて...」
母(千代)は微笑むと言った。
「それでいいの、雫。どうなろうと私達は家族だから」
「僕は...」
深く息を吸い込むと目を閉じ静かに言った。
「元の家族がいい」
母(千代)が驚いたように目を見開く。
「今の家族も大切だ。でも僕はここでケジメをつけたい。自分の気持ちに」
父は満足気に頷くと言った。
「よく言った!それでこそ俺の息子だ!」
数日後
「いってらっしゃ~い!」
大学の春休みも終わり東京に帰ることになった。
母(千代)はここでの生活が気にいったようで実家にずっといついている。
「また、来てね!」
雫が元気に手を振る。
「もう1つの実家にも帰ってきてね~!」
「おぅ!いってきます!」
家族が2つある...なんて変わってるけど今は結構充実してる。
桜が舞う。もう少しで春が終わる。
*END*
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