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桜と家族と僕の嘘
作者: りんごっち  (総ページ数: 15ページ)
関連タグ: 家族愛 恋愛なし 現代 ハートフル小説 
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10~

*10*

これは、今から15年も昔の事。
僕と雫はまだ本当の実家で暮らしていた。
雫は僕のいとこ。このことを雫は知らない。

事故により身寄りのなくなった雫を僕達が引き取ったのだ。

実家はとある町の豪邸。
母はまるで人形のような見た目をしていて、とても優しかった。

父は多分いない...幼い僕でもそれは分かっていた。

あるとき母が病気にかかった。
精神的なものだという。

僕達を今の自分が育てられないと思ったのか施設に預けた。

その時、僕は母と約束した。

「涼...お母さんはちょっと疲れちゃったからさ...ちょっとだけお母さん辞めてもいい?」
「え?」

「お母さんに戻ったときは迎えに行くから」
「それっていつ?」

「お母さんにも分からない」
その時の母の顔はどこか遠くを見つめるような穏やかな目だった。

「絶対に迎えに来てね?約束だよ?」
「うん」

こうして僕達は施設に預けられた。
母からの迎えも諦めかけていた。
でも、未来は誰にも分からない.....

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