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シークレットガーデン-椿の牢獄-[完]
作者: 姫凛  (総ページ数: 15ページ)
関連タグ: シークレットガーデン 叢とムラクモ 裏と表 陰と陽 乙女の淡い恋心 キュン死に注意 
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10~

*6*

「アンタも来たんだ?」

エフォールに案内されるまま部屋に入ると最初に聞こえたのは子供の皮肉。声の主は同然ユウだ。
ユウの向かい側には、だいぶ待たせたしまった事が癪に障ったのか、ザンクが苛立ちを露わにして今にも暴れ出しそうな勢いだ。

「待たせてすまない」

対面上謝っておく。詫びの言葉一つとってもいれるか、いれないかで大きな違いがでてくるからな。
そもそも他人なぞに興味がないユウは「あっそ」と軽く受け流す。短期で血の気の多いザンクは

「オレ様は待つのが嫌いなんだ。次遅れたらどうなるかわかってんだろうなぁ?」

と喧嘩を売ってくる。そんなもの買う愚か者が何処にいる。

「なにそれ? 自慢?」
「あぁ?」

此処にいた。案外すぐ傍に居た者だ。愚か者が二人も。
こうなることが解っていた方エフォールも我を呼んだのだ。やめろと愚かな二人に言う。ちっと舌打ちをして二人は背中合わせにし真逆の方向を向き合った。……まったくお子様の相手は疲れるだけだ。

ザンクとユウの二人は顔を合わせるとすぐに喧嘩を始めてしまうところがある。
荒くれ者と皮肉屋。正反対で似た者同士の二人では馬が合わないのだろう。放っておけば勝手に潰し合だろう。だがそれは王の望むところではない。
だから仕方なく我が仲裁する羽目になるのだ。とても面倒くさいことだが、王の為ならば致し方無い。
はぁ…とため息をつき下を向くと、メシアの生き残り寝顔が…綺麗だ。雄に対してこの言葉を使うのはあまり適切ではないのだろうか……でも、とても綺麗な寝顔だ。

「殺?」
「い、いや、なんでもないっ」

い、いかん。エフォールに様子をがおかしい事を勘づかれてしまった。
綺麗な寝顔と言えど、奴は敵! メシアの生き残りは殺す対象! 
緊縛とした雰囲気でよからぬことを考えているなど、緊張感が足りぬ証拠だ。我も精進せねばな。

「ギャハハハッ!まさか、こんなに簡単に捕まえられるとわなぁ!!」

嘲るザンク。奴の笑い声は頭の中がキーンとしてとても耳障りな声だ。

「黙れ、ザンク。起きたらどうするつもりだ?」

そうだ、ユウの言う通りだ。こんなに綺麗で素敵な寝顔が見られなくなったらどうしてくれよう……ではなくて、だっ!
メシアの生き残りが起きて、今の我の姿を見られたらどうしてくれようか。正体がばれるようなことになれば、本当に殺さなければいけないことになってしまうではないかっ!
いやいや…そうではなくって王の計画が台無しになってしまうではないか! そう。そうゆことなのだっ。

「あぁ? 起きたなら殺せばいいだけだろぉ!?」

ザンクは高らかに笑う。確かにそうだな。いつもならザンクと同意見だ。だが今回は駄目だ。
メシアの生き残りに限ってはそれは許されないのだ。



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