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*7*
「…殺殺殺殺殺」
繰り返し同じ言葉を言うエフォール。我には分かる怒っている。隠す気のない殺気だだだ漏れだ。
もちろんその殺気の矛先は
「あ゛?」
血が足りず喉が渇いた獣。ザンクに対してだ。
イライラとした表情でエフォールを睨み付ける。それに同調しユウもまた
「ホントッ、愚か者が一人いるダケで困るんダケど」
「なんだと…ユウ」
見下したように睨み付け人を小馬鹿にしたような口調でザンクに喧嘩を売った。
短期で単純な奴らだ。喧嘩を売られれば簡単に買い。
場所も時も関係なく喧嘩、いやただの殺し合いを始め潰し合う。
「王に言われているダロ。メシアの生き残りはまだ殺すなと」
「知らねえなー! オレさまはオレの殺したい奴を殺したい殺すだけだぜっギャハハハハッ!!」
愚か者が。
我らの肉体もそれに流れる血も魂も全ては王のもの。バーナード様に捧げた、王に使える駒だ。
それが王の命に背き己の意思で行動するなど笑止千万。
「殺殺殺殺殺殺殺…」
「つーか、エフォール!殺殺うるせぇ!!」
「…殺」
緊迫とした空気、一触即発。誰かが動けば、試合のごんぐが鳴らされるだろう。
我、そして眠るメシアの生き残り、椿の牢獄で働く従業員もろとも塵となるだろう。
「………やめろ」
「「「ッ」」」
貴様らが勝手に潰し合い、殺し合い。誰が巻き込まれ、誰が負け死のうが興味ない。
だがメシアの生き残り。ルシアを巻き込んで行うと言うのならば、我も参戦しよう。主ら全員、天へも地へも行けず永遠に現世を彷徨う生き地獄を味合わせてくれよう。
殺気に満ちた狂気で威圧すると、三人は大人しくなってくれた。そうか、分かればいいのだ。我とて無駄な動力を使いたくはないからな。
空気も鎮まった。ならばここはひとつ話の内容を変えるべきか。昔このようなことが起こった時、紫龍様は話題を変えることで指揮をとられていた。
話題…か。闘いしかしてこなかった我に、この場に適した話題など振れるのか…?
こむ、そうだ。コロシアムの話はどうだろう。ドルファが経営二大娯楽施設のカジノとコロシアム。コロシアムはユウの管理下。そしてザンク、エフォールのお気に入りの場所。うむ、きっとこれが一番の話題と言えよう。
「ユウ」
「ナニ?」
せっかくの殺し合いを邪魔されたことに不機嫌な表情のユウに
「コロシアムの景品はどうなった」
に景品の話を振ってみたのだが
「ちゃんと用意しましたケド」
不機嫌なままだった。なにか間違えたのか。
いや間違えてはいないはずだ。ザンクとエフォールの瞳が輝いている。
景品がなにに決まったのか興味深々と言った顔だ。
「殺殺殺殺殺殺殺」
「誰だって? あの競馬大会で荒稼ぎしてた雌豚だよ」
競馬大会で荒稼ぎしていた雌豚だと……?
なぜ馬のれーす会場で豚が優勝する。いや出来たのだ? 馬ではなく豚のれーすでも行われていたのか? それの優勝者が雌の豚?
もうひとつ気になるのは何故わざわざ雌豚と呼かということだ。豚は豚だろう。雌も雄もいるが所詮豚は豚。
雄でも雌でも食用肉であることに変わりはない。肉に何故一々雄だの雌だのつけて呼ぶのか我には全く理解できないことだった。
「あーーー!! 殺したりねぇーー!! オレ様もコロシアムで殺しまくりたいぜぇ! ギャハハハッ!」
豚のことを考えていると、突然ザンクとが発狂した。
気持ちは分からないでもない。この症状はドラゴンネレイドなら皆起こるもの、無性に血を浴びたくなる時があり、喉が無性に乾いてしかなのない夜が訪れるのだ。。
我はバーナード様が用意してくださった、血液をパックしたものを飲むことで衝動を抑えるようにしている。が、見る限りザンクは欲望のまま狩りとった新鮮な血で喉を潤しているようだがな。
「ふんっ、ボクはアンタみたいに遊びでやっているわけじゃないんだケド」
「殺殺殺」
「あぁ゛? オレ様に命令する気かぁ? 雑魚ふぜいがぁぁぁ!!」
「ボクと殺ろうっての」
「殺!」
またこうなるのか、これで何回目だ貴様ら!
一触即発の空気、三人共いつでも戦闘出来るように身を構えて、今か今かと待ち構えている。
本当に手間のかかる同僚たちだ。血の気が多いことはいいことだと思う。が、多すぎて他人に迷惑をかけるのは好かん。
どうしても戦いたいと言うのならば、我がいつだって相手をしてやると言っているのに……何故誰も我には仕掛けて来ないのだっ!!
と、いかんっ、放しがずれてしまった。まずはこの場を納めなければ…
「…やめろ」
「「「…叢」」」
三人は武器から手を離した。ひと段落か。これで少しは大人しくしておくだろう。
それにしても……と寝具の上に眠るメシアの生き残り、ルシアに視線を向ける。
綺麗な寝顔。見ているだけでこれまでの苦労がすべて水に流されていくような癒され感。こやつの寝顔を見ていると、胸の中にあるざわざわがなくなり心地良い気分になる。
「殺?」