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8月2日。【赤葦×菅原】
作者: 大和 撫  (総ページ数: 17ページ)
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10~

*2*

高校を卒業して、都内の大学へ進んだ
小学生から続けていたバレーはやめてしまった。嫌いになったわけじゃない。ただ、
追いついていけなくなってしまったのだ。
周りの熱量に
そこからの日々は平凡そのものだった。 何か大きな出来事もなく、ただ普通に過ごしていた。まぁ、それも事故にあったその日までの事だったが。 俺は確かに死んだはずだった。なのに何故か今 ベッドの横に立っている。俺は、死んだはずなのに
(なんだこれ......、透けてる?)
部屋の照明に手をかざしてみると、わずかに透けているのがわかる。
しばらく自分の身体を見たり触ったりしていると、母親がこちらに向かって歩いてくるのが見えた。
『母さ......』
だが、母親の身体は俺に触れることなくすり抜けて行った。
『母さん?......、母さん......母さん...!』
呼んでも母親は応えることは無かった。
(聞こえていないんだ)
もう一度、手を伸ばしてみる。でも、やはり
触れることなくすり抜けていく。
声は聞こえないし、触れられない
まさか、幽霊になったとでも言うのか?
『.........なんで......』
死んだ人間が幽霊になって現世に留まるなんて、小説やアニメの中でしか聞いたことが無い。仮に今の状態がそうだとして、死んでも尚、霊として留まるくらいの
未練など、何かあっただろうか?......心当たりはある。でも今はどうしたらいいか分からない。この体でどこまで自由が効くのかもわからない。 当然、誰も助けてはくれない。
(...帰ろう)
その日は混乱したままの頭で家に帰った
疲れは感じなかった。

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