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8月2日。【赤葦×菅原】
作者: 大和 撫 (総ページ数: 17ページ)
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作者: 大和 撫 (総ページ数: 17ページ)
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*3*
初めて自分の葬式を見た。両親と親戚
大学の友人よりは、高校時代の友人の方が多かったような気がする。もちろんそこには、元チームメイトの姿もあった。 みんな目元が赤くなっていて、どこかやつれていた。そんな両親やチームメイト達の姿を見るのは耐えられず、気づけば外に出ていた。特に行くあてもないので、ぶらぶら歩いてみることにした。俺が幽霊になってから今日に至るまでに
気づいた事がいくつかある。まず一つ目。一番初めに気づいた事だが物に触れられない事、他の人からは認識されない事。 ものを触るとすり抜けてしまうし、他の人には俺の姿は見えない。声も聞こえないのだ。だが、触れない代わりにすり抜ける事は出来る。つまり壁やドアをすり抜けて移動出来るという事になる そして二つ目。 疲れや空腹など、生きている頃に感じていた感覚が無くなったことだ。どれだけの長い距離を歩いても疲れや足の痛みは感じないし、空腹になることも無い。痛覚や味覚などもなくなってしまった。
痛みや空腹を感じないのは楽だが、疲れがない分睡眠が出来ないのが厄介だ。夜中の間中起きているのはしんどい。
(幽霊なら飛ぶくらい出来そうなのにな)
霊体になったとしても飛べる訳じゃないらしい。移動手段はバスや電車を使う訳にもいかず、ほとんどが徒歩だ。 だから今もこうして
当てもなく歩いている。今の自分が本当に幽霊なら、いつか消えることになるのだろうか
きっと、今もここに留まっている理由は
あの人だ。
『菅原さん、どうしてるかな』
独り言のように、あなたの名前を呟いた
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